内容説明
「映画には、文法がないのだと思う。これでなければならないという型はない。優れた映画が出てくれば、それが独特の文法を作ることになるのだから、映画は思いのままに撮ればいいのだ」―世界の名作映画にも選ばれた『東京物語』や『早春』『秋刀魚の味』など日本人の心を描きつづけた映画監督小津安二郎の仕事とプライベートを完全網羅。
目次
序章 小津安二郎の肖像と語録
第1章 小津映画の名優たち
第2章 小津映画の撮影現場
第3章 小津安二郎交遊録
第4章 小津安二郎の生涯
第5章 小津美学の秘密
第6章 小津映画と私
第7章 小津映画全作品
第8章 小津安二郎年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roku7777
3
貴重な写真が多く、ああ小津また見たいなと思わせてくれる本だ。当時の小津組に対するインタビューも貴重。写真を見るとわかるんだけど女優さんの顔の小さいこと!いや、これぞ美人というんだな。岩下志麻なんかほんとクールビューティである。「映画とは一人の人間のほんとうの個性を描くものだ」「私は画面を清潔な感じにしようと努める」小津の映画には凛としたものがある。それは撮っている人もそうだ。小津だけでなく周りも含めてだと思う。2021/06/27
Gen Kato
3
小津安二郎映画を再見しはじめたので、手引きの書として。小津映画は市場に比較的安値で出回っているところがありがたいですが、初期の作品はやはり幻なんだよなあ。2017/08/15
Koki Miyachi
3
映画監督小津安二郎の映画人生とエピソード。ものづくりには個性とぶれない価値観が必要なことを、今更ながら再認識させられた。『ぼくは「豆腐屋」だから豆腐しかつくらない。同じ人間が、そんなにいろいろな映画をつくれるものではない。何でもそろっているデパートの食堂でうまい料理が食べられないようなものだ。』というくだりにはシビレた。しっかり時間をつくって、どっぷり小津安二郎の世界を味わってみたいと思う。2013/01/10