内容説明
「どの駅からでもいいのよ、ここからも行けるわ」少女の声には不思議な響きがあり、まるで歌のようで、聞きなれぬ音がいっぱいあるのに、懐かしい気がするのです。僕はなにか大事なものを見ているのに、そのものの意味がわからない人のように、胸が騒いで、足ががくがくしてくるような気がしました。―カエルやモグラのような男や人魚だった女性が私たちの街にいる。読み終えればそんな心持ちになる、物語と絵の邂逅。
目次
市場の入り口―旅行代理店で聞いた話
窓からの眺め―食堂車のテーブルで聞いた話
駅前2―初めての市電で聞いた話
ウチナダ2―市電の中で聞いた話
天文館の見える宿―大学の食堂で聞いた話
工房の庭―コダツノの工房で聞いた話
野原の花火師―野原の道で聞いた話
ガーデンチェア―迷路の庭で聞いた話
市場の屋上―中央広場で聞いた話
ラピュタ売り2―イバラードの野原で聞いた話〔ほか〕
著者等紹介
井上直久[イノウエナオヒサ]
1948年、大阪府に生まれる。金沢美術工芸大学を卒業。グラフィックデザイナー、高校の美術教師を経て、1993年に画家として独立。国内やパリの画廊、美術館等の個展で新作を発表し続ける。初めての著作『イバラードの旅』(講談社・架空社より再刊)は講談社絵本新人賞受賞。宮崎駿氏に見出され、スタジオジブリの映画「耳をすませば」で物語のモチーフとなる幻想シーンの美術を担当し、ファン層が広がる。三鷹の森ジブリ美術館ロビーに壁画を制作
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ゆっき~
5
さあ、イバラードへ。不思議な街で出会った少し風変わりな人々が庭や市場…さまざまな場所へと案内してくれるはず。しかし、イバラードにはいったい誰の意思が働いているんだ(笑)2013/03/13
HIDE
4
異国の美しい街を散策するかのような気分になりました。色彩は多いけれどもトーンの淡い絵は曇った鏡を磨いたときのようなすっきりとした気持ちにしてくれます。2013/07/07
cozy
3
幻想的な絵とお話と。不思議の国に迷い込んで、ぐるっと一巡りしてきたような気分になります。大人向けだと思います。2014/06/21
明日希
3
久しぶりに再読。イバラードの世界に来た人物が聞く、イバラードの住人の話。あぁ、ここで立ち話してるのかーと楽しめる。井上直久さんの絵はいつ観ても飽きない。2009/11/03
読み人知らず
2
一つ一つの絵に説明文ではないけれど、物語がついていて楽しめる内容。 2008/03/03