内容説明
東洋思想の第一人者安岡正篤は、自分を無用のものという意味で「瓠堂」と称し、無位無官の市井の人として過ごした。しかし、一方では第二次世界大戦以降の吉田茂から田中角栄、中曽根康弘に至るまでの日本の歴代首相の指導者として政治の節々に登場し、また次代を担う政界・官界・財界の人材を陰から支えてきた。その一生を、日本の国と日本人への「敬愛の精神」で貫き通した、巨儒のすべて。
目次
第1章 蘇る人生の師父
第2章 政治を先賢に学ぶ
第3章 白面痩身の青年思想家
第4章 ああ、五族協和の理想
第5章 終戦の詔書刪修と公職追放
第6章 一燈隅を照らし、万燈国を照らす
第7章 巨儒、落つ
著者等紹介
神渡良平[カミワタリリョウヘイ]
1948年、鹿児島県に生まれる。九州大学医学部を中退後、新聞記者や雑誌記者などの職業を経て、作家に。38歳のとき脳梗塞で右半身不随になるが、リハビリによって社会復帰を果たす。このときの闘病体験から「人生は一度だけ。貴重な人生をとりこぼさないためにはどうしたらよいか」という問題意識が作品の底流となった
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感想・レビュー
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とみやん📖
5
伊藤肇の著書や、玉音放送の原稿を遂行した人ということで前々から気になっていた安岡正篤氏について知りたくて手にした本。 無位無冠の人でこれほどまでに日本史に関与し続けた人がいたことに感銘。潔く、影に徹し、自己に厳しく、人材育成に取り組んだ姿が素晴らしい。講演の記録などが沢山世に出ているようなので読んでみたい。2017/11/30
脳疣沼
4
もちろん伝記特有の美化のされ方があるのだろうが、それでも日本にこんな人が居たとは驚きだ。スーパーマンである。しかし美化されているとしたら、その度合いが知りたい。2015/01/27
夢仙人
3
うーん!素晴らしい人物である。教養が指導者として発揮された希有な人物である。いろいろと読んでみたい。2012/10/18
アイマール
1
尊敬する安岡正篤の、生涯の僅かな部分を知ることができた。 それこそ、政界や財界のトップにどのようなアドバイスをしていたのか? 安岡正篤は、語らないから、安岡正篤なんですね。2021/01/06
宮本篤志
1
安岡正篤さんという人がいて、日本の偉い人達に非常に強い影響を与えていたということを、この本を読んで初めて知りました。東洋思想を研究して、人間はどう生きれば良いのか?を実践して、また教育した人だと思います。現代の日本でも、どう生きたら良いのか?と悩んでいる人は多いと思います。しかし、その答えを東洋思想に求める人は少ないんじゃないでしょうか?なぜなら東洋思想は何となく、暗く、厳しく、つまらないものだと感じるからかもしれません。しかし、今の日本があるのはその先人達がその思想と行動で日本を守ってくれたお陰だと…。2016/12/06