内容説明
イタリアの都市・建築史研究の第一人者の著者が、若き建築家時代に魅せられたイタリアの魅力とは?人間が主役の都市づくりを進めるまちの底力とは?「保存と再生」を巧みに推し進めるイタリア人の歴史と文化に対する情熱とは?イタリアの新しい建築史、都市論を楽しむ入門書であり、飽きないイタリアの魔力がつぎつぎと分かってくる一冊。
目次
序章 「都市と建築を読む」ことの面白さ
第1章 水の都ヴェネツィアへ―北イタリア
第2章 迷宮都市ヴェネツィアの歴史を読む
第3章 足と舟と五感で楽しむ町ヴェネツィア
第4章 丘の上の真っ白な町チステルニーノ―南イタリア
第5章 保存再生の先駆者ボローニャ―中部イタリア
終章 イタリアの輝きがまた戻ってきた
著者等紹介
陣内秀信[ジンナイヒデノブ]
1947年、福岡県に生まれる。東京大学大学院工学系研究科博士課程を修了。工学博士。イタリア政府給費留学生としてヴェネツィア建築大学に留学。ユネスコのローマ・センターで研修。パレルモ大学契約教授(1986年)、トレント大学契約教授(1995年)。法政大学教授。専門はイタリア建築史、都市史。サントリー学芸賞、建築史学会賞、地中海学会賞受賞
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感想・レビュー
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蝉の一生
1
イタリア好きの私としては、書棚で見つけた以上、手に取らずに通り過ぎることはできませんでした。著者の70年代のイタリア留学時代のことなので既に半世紀前のことになります。しかし、如何なる時代でもイタリアの魅力的なことには変化はなさそうです。ヴェネチア、スチテルニーニョ、ボローニャとまちの形成や家の造りが建築史家の視点で語られます。私にとっては、それよりもやや付録的に記される住民のくらしや想いに興味深さを感じましたが…。2023/10/08
hakodadi
1
筆者が30代(1980年代)に書いた処女作を2001年に改題(一部増補)したもの。氏が留学していたヴェネティアに関する記述は図版や写真を駆使して丁寧。1章をボローニャにも割いているが、車社会の到来で郊外にスプロール化する都市の変貌に抗して、あえて旧市街の中心部分の再開発(外観保存=居住性改善=家賃の低廉化)に傾注した当時の政策「ボローニャの奇跡」は今こそ、この日本で再度みなおされるべきとの氏の主張にはおおいに賛同。ポルティコ(回廊)の下での住民のコミュニケーション空間の描写はなんとも感動的だ。2015/09/11
NOMO
0
観光地としてのイタリアの都市ではなくて、生活の中にあるイタリアとその建築という感じの話だった。建物の構造を読み解くことでそこに秘められた地域の歴史を読み解き、文化を調べる研究は面白いと感じた。昔からある建築物との調和と古いものを新しいものに利用するイタリアの都市建築の考え方はこれからも残っていってほしい。2012/02/24
utataneneko
0
ヴェネツィア、ボローニャなど、歩いていて楽しいイタリアの街の成り立ちの秘密が、この本を読んで分かった気がした。これまでの歴史の中で生活様式、文化に根ざしているからこそ、ヒューマンスケールで、人にとって心地いいのだ。近年新たにできた街にはない魅力に溢れていて、今も多くの人々を惹きつけ続けているのだろう。2011/01/26