内容説明
名機零戦こそ我が命。ガダルカナル上空、瀕死の重傷を負いながらも背面飛行でラバウルへ還り着く!死と直面し死に打ち勝った日本の強者坂井の迫真の記録。
目次
第5章 向かうところ、敵なし
第6章 孤独なる苦闘の果てに
第7章 迫りくる破局の中で
第8章 大空が俺を呼んでいる
著者等紹介
坂井三郎[サカイサブロウ]
1916年、佐賀県に生まれる。青山学院中学部を中退し、1933年に海軍に入る。戦艦霧島、榛名の砲手をへて、1937年に霞ヶ浦海軍航空隊操縦練習生となり首席で卒業、戦闘機操縦者となる。初陣の1938年以来、九六艦戦、零戦を駆って太平洋戦争の最後まで大空で活躍。200回以上の空戦で敵機大小64機を撃墜したエース(撃墜王)。2000年9月逝去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
63
戦争の齎す心の乖離。同じ飛行士であるが故に命を懸けた戦闘。圧倒的技術と経験も、失明による弊職への配置転換。失う仲間。戦争経験故の戦争と平和への思いが交錯する過程。圧倒的物量を肌で感じる中でも失わない戦闘意識が、時代を象徴。誤解を恐れず言えば、ポートモレスビー敵基地上空での連続編隊宙返りなどは、飛行気乗りとしての本来の楽しみ方。それを敵味方の枠を超えて、自然に体現していた気がしてならない。「遠目を利かす訓練」や「心の編隊」など、自他へ求める日頃の鍛錬にも、飛行士としての誇りを感じる。2016/09/18
のっち♬
46
「血で真っ赤に染まる視界を、涙が拭い取っていった…」本書は盛ったようなエピソードや自慢げな語り口も散見されるが、その一方で挫折と苦悩、戦友との出会いと別れなど戦争の無情さも多分に伝わってくる。常に挑戦して前に進もうとする、全力で戦い同僚を守る、その姿勢、ストイックさは時代を飛び越えた現代においても説得力がある。「普通の人は持てる力の30パーセント程度しか使わずに死んでいく」我々現代人はあの異常な時代を戦って生き抜いた著者たちに比べたら普通の人だが、残りの70パーセント引き出す努力ぐらいはしたいものだ。2017/07/31
馨
38
命がけで戦地から生還し、片目を失明しかけてもまだパイロットとして日本男児として勇敢に戦ってくださった坂井さん、大変頭が下がる思いです。最近亡くなられたそうで残念です。何度危険な目に遭っても生き残られたのは、戦争の話を後世に伝えるために、きっと生かされていたのだろうなぁと(勝手ながら)思います。2012/10/07
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
32
全編を通して、「戦争」が著者の感じたままに書き連ねられている。 変に軍国的な主義主張が入っていない分、フラットで読みやすかった。 「日々の鍛錬の積み重ねが一流につながる」という後書きが染みる。2020/06/02
かおりんご
30
自伝。後半もはらはらしながら読みました。目が見えなくなるのは、パイロットにとって致命的ですね。一命をとりとめただけでもすごいことだとは思いますが。特攻隊ものは色々と読みましたが、戦闘機のパイロットはあまり読んだことがなかったので新鮮でした。自分が一緒に戦闘機に乗っているような気にさせてくれます。読めてよかったです。2018/10/22