内容説明
「軍艦造りの名人」「海軍造船に西島あり」といわれた技術者が、世紀の大事業「大和」の船殻主任に指名された。大和建造の全過程をその身を削って体験した西島は、戦後、その口を閉ざし、多くを語らなかった。ところが意外にも、一千枚を超える回顧録ともいえる原稿を残していた。この未公開記録をもとに様々な取材、地道な資料調査などを加えて、超弩級戦艦建造の知られざる偉業を明らかにする。
目次
序章 海軍造船に西島あり
第1章 海軍造船大尉西島亮二の誕生
第2章 科学的生産管理法への第一歩
第3章 次々と新技術を導入
第4章 相次ぐ大惨事
第5章 戦艦「大和」建造計画
第6章 建造準備は着々と
第7章 前代未聞の複雑な巨大戦艦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
20
バルチック艦隊を撃滅した軍艦は輸入品。わが国に最先端の艦船を建造する技術はなかった。同盟国イギリスに派遣された留学生らにより1920年代には艦艇設計で世界に注目されるレベルに達した。海軍休日、つまり、軍縮で主力艦の建造が制限され、日英同盟の破棄や各国の警戒心から独自開発へ移行したが、兵装の過積載で横転事故が起きたり、溶接品質が安定しなかったり、国産の大型工作機械がなかったりと各分野のちぐはぐさがあった。機械工業の裾野が違う中、世界のどの国も作ったことのないものを作るというのが技術者に課せられた課題だった。2025/06/26
SS
1
日本のものづくりと戦略の成功と失敗の事例がほとんどある。西島さんは 時代はちょっと早いが用兵側の島村速雄を想起させる・2014/04/13
びーちゃん
1
日本人の精神の兵器開発への反映。それが特攻兵器への開発へと向かったことは悲しむべきことである。評価42011/01/20