内容説明
自分の生き方を模索し、自立して生きていこうとするヒロインたちが、みな死んでいくのはなぜなのか!?女はどこに被害届けを出せばいいのか!?フェミニストの立場から「赤い靴」「ベティ・ブルー」「存在の耐えられない軽さ」など、10本の映画の中の、これまで見過ごされていた「男社会」の勝手な「女性観」と、女性抑圧のかたちを読み解く。
目次
第1章 愛か仕事か、二者択一を迫る男たち
第2章 女は男のお気に入りのオモチャである
第3章 女も愛だけでは生きられない
第4章 娘が母を告発するとき
第5章 あの人にだけは分かってほしい
第6章 主婦という自己犠牲からの脱却
第7章 母親は成功した娘に嫉妬する
第8章 自分のセクシュアリティをとりもどす
第9章 依存と支配が「弱い自分」をつくる
第10章 自分を偽ることをやめたとき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gen Kato
3
読んでいて再読と気づいた。が、おもしろいことに変わりはなく。見た作品未見の作品、半々くらいだけど、どちらの評論も頷かされた。名作といわれる『愛と追憶の日々』、何となく避けてきたの、この田島評を読んでいたからだろうな。今後も観ないかもw2024/06/18
t_hirosaki(t_hirosaki)
3
面白かった。文中で上げられてた映画はどれも面白そうですね。著者がフェミニズムの学者であることと関連してか男性主体の社会への批判が多く取り上げられます。本文中の言及は、7割くらいはその通りで、3割くらいは言いがかりな気がしますw/さすがにそりゃ牽強付会じゃないかって分析もちょいちょい見られますが、視点の斬新さ、深読みの深さって点ではものすごいハイレベルだなあと思います。『赤い靴』と『愛と追憶の日々』と『存在の耐えられない軽さ』が気になりますね2016/04/16
ユ
2
解説されている映画はどれも見たことがないけど、凄く面白かった。松田青子さんの『女が死ぬ』を読んで、私がいつも思ってたことが代弁された!と嬉しくなったけど、この本もしかり。ファムファタールが殺されない映画ゴーンガールを田嶋さんならどう見るんだろうと興味が湧いた。30年前に書かれた本なのにとても新しく感じる。2022/01/29
青縁眼鏡
2
様々な観点から映画を見る技術を取得できる。北村紗衣先生の本にも通じる。2020/09/20
だちょう
0
田嶋先生は大学で教鞭をとっていた学者なのだといっても、テレビに出ていた印象のほうが強かったけれど、この本を読んでいい意味でその印象が裏切られた。まさにど真ん中のフェミニズム批評。とある映画に対する、男性同士のきずなを書くことを優先して、男女の恋愛でも女性はあくまでも舞台装置、魂の入っていない人形に過ぎないという指摘は、他の作品でもあることだななんて思ったり。ファム・ファタールが殺される社会的な要請や経済的・精神的に自立を阻まれることの恐ろしさなど、今にも通じる指摘が多い。面白かった。2021/11/03