戦禍に生きた演劇人たち―演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

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戦禍に生きた演劇人たち―演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062207027
  • NDC分類 775.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

8月6日、広島で被爆した「桜隊」の9人。彼らを支えた演出家・劇作家たち。膨大な発掘資料から舞台も蹂躙した国家弾圧の嵐を描く。いま最も注目されるノンフィクション作家・堀川惠子の最新作。本作でも博物館の倉庫に眠っていた遺品の発掘により、戦前戦中戦後の演劇史を書き換える。
8月6日、内務省から派遣されていた移動劇団「桜隊」の9人が被爆し、5人は爆心地そばの宿舎で即死、4人は広島では一命をとりとめたが、2週間後には全員避難先で死亡した。昭和演劇史でも有名な桜隊の受難である。
劇団の座長の丸山定夫は、戦前に一世を風靡した名優であった。築地小劇場で腕を磨き、映画、ラジオと引っ張りだこだったが、舞台の魅力が捨てがたく、戦時中にもかかわらず新劇団を立ち上げ、統制された中でも活動を続けた。内務省に命じられた疎開先に広島を選んだことが運命の分かれ道となった。
映画より先の昭和17年、文学座で客演した『富島松五郎伝』(映画では、「無法松の一生」)で、杉村春子を相手に演劇史上に残る名演を残した。
丸山には、弾圧の嵐が吹く演劇界で二人の盟友がいた。劇作家の三好十郎、演出家の八田元夫である。治安維持法により一年も勾留された八田。検閲を乗り越え、当局が許すギリギリの線で脚本を書き続けるく三好。三人は命を賭けて日本の演劇を守ろうとした。
今回、早稲田演劇博物館に所蔵されていた未整理の八田の遺品は、メモ魔といわれた演出家が、仕事、生活そして8月6日の被爆を聞き、仲間の救出のため広島で行った活動の詳細を残していた。その資料による8月10日からの2週間の被災地描写は、これまでの原爆を描いたどんな作品をも圧倒する。

序 章 ある演出家の遺品
第一章 青春の築地小劇場
第二章 弾圧が始まった
第三章 イデオロギーの嵐
第四章 拷問、放浪、亡命
第五章 新劇壊滅
第六章 「苦楽座」結成
第七章 彰子と禾門
第八章 眠れる獅子
第九章 戦禍の東京で
第十章 広島
第十一章 終わらない戦争
第十二章 骨肉に食い込む広島
終 章 そして手紙が遺された


堀川 惠子[ホリカワ ケイコ]
著・文・その他

内容説明

演劇界を襲った検閲、蹂躙、拷問の時代。被爆直後の広島へ圧倒的な描写で迫る。舞台で輝きつづけた魂の交錯。

目次

ある演出家の遺品
青春の築地小劇場
弾圧が始まった
イデオロギーの嵐
拷問、放浪、亡命
新劇壊滅
「苦楽座」結成
彰子と禾門
眠れる獅子
戦禍の東京で
広島
終わらない戦争
骨肉に食い込む広島
そして手紙が遺された

著者等紹介

堀川惠子[ホリカワケイコ]
1969年広島県生まれ。ジャーナリスト。『チンチン電車と女学生』(小笠原信之氏との共著)を皮切りに、ノンフィクション作品を次々と発表。2010年『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、2011年『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、2013年『永山則夫―封印された鑑定記録』(以上、講談社文庫)で第4回いける本大賞、2014年『教誨師』(講談社)で第1回城山三郎賞、2016年『原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年』(文藝春秋)で第47回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回早稲田ジャーナリズム大賞(15年)をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

79
『原爆供養塔』に次ぐ、堀川さんのノンフィクション作品。あの夏の日、広島に居合わせた劇団「桜隊」。5人が建物の下敷きになり生きたまま焼かれ、残り4人は19日間にわたり次々と放射能によって悲惨な死を遂げた。全員、東京を拠点に活動していた俳優たちだ。桜隊に深くかかわった作家三好十郎、俳優丸山定夫、演出家八田元夫の演劇人の軌跡とともに、芸術運動を政治に隷属させられた劇団と団員の足跡をたどる力作だ。とりわけ、戦地の川村禾門のもとに残された女優森下彰子の45通の手紙には、あの戦争を生きた人間の運命というものを感じざる2017/09/13

kawa

38
またも凄いノン・フィクションに出会った。「いったん国が戦争をすることを許してしまえば、それに抗って生きることは容易ではない。もし、同じ時代が再び来れば、自分はまた同じことを繰り返してしまうだろう。人間はそんなに強くない。だからこそ、平和と言われる時代にあっても、無関心にその時代の行列に並ぶのではなく、自分が正しいと思うことに向かって意思を示し続けなくてはならない。」戦禍の中の弾圧を生き延び、ガンマ線に貫かれた演劇人・被爆者の弁。360頁最後まで読み徹して得られる納得の結論。しかし、重すぎて消化しきれない。2019/02/17

きょちょ

26
戦争は国と国との争いだけではなく、1つの国で権力者がそうでない者を蹂躙するという悲劇がある。 映画や演劇界もひどい目にあわされる。 「桜隊」と名を変える劇団も、強制的に地方を慰問する移動演劇団にさせられ、演目も当然検閲され、最後は広島に移動させられる。 最後の演目は、検閲をうまくかわした練りに練った作品で、そこはうれしい。 だが、演出家ほか1名以外は被爆し全滅・・・。 哀れとしか言いようがない。 治安維持法などという悪法は二度と成立させてはいけないし、特高や憲兵なども二度と存在させてはならない。 ★★★★2018/02/11

チェアー

21
筆者の本にはとにかく圧倒されるのだが、今回もまた、ああ、すごい本を読んでしまった。長年かけての地べたを這いつくばるような関係者への取材、そして資料の発見。それらをもとに歴史を再構築し、人を浮かび上がらせる。見えてきたものは、単なる原爆の悲劇だけではなくて、そこに至る「必然」、そして戦前、戦中の演劇人の生き様だった。いまと当時とどこが違うのか。読み終えてしばらく言葉がなくなるような本だ。2017/10/15

shushu

13
新劇の起こりから始まり、治安維持法の演劇への弾圧、慰安劇団の地方移動の強制、原爆投下の際、どういう経緯で広島にいたのかを、過去のインタビューや残された資料を基に描く。読んでいて息苦しくなってくる。ただ、芝居をしたかっただけなのに。。原爆症で亡くなった俳優丸太定夫が玉音放送の数日後、「もう10日早く手をあげたらなあ」「芝居の出来る世の中になったんだね。2年待っておくれ。この身体を直してきっといい芝居をやってみせるよ」という言葉で涙腺決壊。この桜隊に参加していた妻森下彰子を亡くした俳優川村禾門の話も心に残る。2018/09/03

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