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  • サイズ B6判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062204972
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

女は娼妓からのし上がり、学士だった男はタコ部屋での労働で人生を変える。運命に抗い、自らの道を切り拓いていった女と男の物語。上原沙矢は、一人特急オホーツクにのり網走を目指していた。遠距離恋愛中の恋人が隣にいるはずだったが、急な仕事で来れなくなってしまったのだ。沙矢は途中にある金華駅で「常紋トンネル殉難者追悼碑」を、そして網走で出会ったある本により、北の大地にいきた女と男の人生を知ることになる。
大正三年。八重子は一人息子の太郎を知人にあずけ、遊郭「宝春楼」で働くために東京から網走へ向かっていた。本州と北海道を繋ぐ青函船の中で、一人の青年と出会う。この青年とはのちにも巡り会うが、そんなこととはお互い想像もせず、それぞれの行き先へ散っていく。
初見世も終わったある日、知人からの手紙を同じ遊郭の百代に読んでもらった八重子は、太郎が死んだことを知る。この日から八重子は変わる、何が何でもトップにたつのだと――。
青函船で八重子と出会った白尾麟太郎は、どういう運命の巡り合わせか、タコ部屋で働くことになる。それまでの裕福で満ち足りた生活とは一変し、生きのびることで精一杯だった。
八重子と麟太郎は過酷な運命にさらされながらも、己の生きる意味を見いだしていく。
そんな彼らの生き様を知った沙矢も、自分の生き方に一筋の光を見いだすのだった。

蛭田 亜紗子[ヒルタ アサコ]
著・文・その他

内容説明

大学生の上原沙矢は、恋人と行くはずだった旅先で出合った書物と石碑により、北の大地で娼妓として生き抜いた女たちと、タコ部屋で働いた男たちの存在を知る。―大正3年、網走の妓楼「宝春楼」へやってきた八重子は、知人に預けた最愛の息子の死を知り、いつかこの妓楼の頂点に立つことを誓う。裕福な生活を送っていた帝大生の麟太郎は、己の甘い考えによりタコ部屋に送られることになり、人生が一変する。北の果ての大地で、貧しさに打ち震えながら生きる女と男は、逞しく己の人生を切り拓いていく。そんな彼らの生き方を知った沙矢は、自分の行く末が見えない不安の中から、一筋の光を見いだす。新世代の大河ロマン誕生!

著者等紹介

蛭田亜紗子[ヒルタアサコ]
1979年北海道札幌市生まれ。広告代理店勤務を経て、2008年第七回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。2010年、『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

133
まさかまさかの大作でした。R18文学賞作家さんがこんなにも重厚なドラマを綴るとは、見事にヤラれてしまいました。舞台は北海道はオホーツクの網走、時代は大正を中心に娼妓「八重子」とタコ部屋労働者「麟太郎」の壮絶な半生を描きます。遊郭とタコ労働の描写がとにかく圧巻で、まさしく食い入るようにひたすら頁を捲りました。北の大地にて逞しく生きていく人々の姿は声にもならないキモチでいっぱいです。貧しさに打ち勝つために、なんとか生き残っていこうとする当時の人々の姿には涙しかありません。北の大地の'寒さ'が身にしみてきます。2020/01/18

いつでも母さん

125
ん~ん、惜しいなぁ。今を生きる沙矢の件はいらないと思った。時は大正、北の果て網走の妓楼に生きる八重子と、タコ部屋に生きる男たちの壮絶な『生』それだけで十分だ。一気には読めない。気力が必要だ。だが、読後感は悪くない。なんだろう・・生きる息吹、生き抜く逞しさ、厳しく強いー人の持つ業なのかー諦めたと思った時から違う人生が拓くのかもしれない。久々にちょっと圧倒された作品だった。2017/06/14

巨峰

94
大正時代の北海道の女郎の働く遊郭と労働者の働くタコ部屋。人間の尊厳を奪うかのような仕事につく若い男女を通して、その時代と現代を繋ぐ、まるで桜木紫乃さんが書きそうなテーマを選んだ蛭田さんの新境地ともなる作品。だからといって、蛭田さんらしい赤裸々な性描写も健在であるためか桜木さんの作品よりも生に近い感じを受けた。生々しい。北海道出身の女性作家であることをいかした作品だと思う。2018/11/16

おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…

90
85/100点 アンソロジーでは読んだことはあるのですが、一冊の作品として読むのは初めての作家さん。重苦しいテーマの作品ですが、面白くて一気に読んでしまいました。大正時代の北海道を舞台に、壮絶な環境で生き抜く男女を描いた物語。最初はひ弱だった八重子と麟太郎が、遊郭やタコ部屋という悲惨な場所で、徐々に逞しさを増しながら生き抜いていく姿に惹き込まれてしまいました。ただ麟太郎が、なぜ毒島の元に残ったのか、なぜ棒頭になりたいと思ったのか、それを決断するに至った心情が述べられていない点に、少し不満を感じました。2017/10/17

miww

74
ほとんど騙し討ちで連れてこられ小屋に監禁され過酷な環境で働かされ使い捨てられたタコ部屋の労働者、貧しい家の借金で遊郭に売られ娼妓として生きる女たちの日々‥。大正3年青函連絡船で出会った麟太郎と八重子が過酷な環境で生き抜いた網走での壮絶な世界が容赦なく描かれる。遠く離れた時代と世界は想像を遥かに超え圧倒された。遊郭とタコ部屋の性と暴力の描写に何度も眉をひそめたが、読み終えてだからこそ自分がその世界を体感できたのだと感じた。このような多くの人生があった事を日本の歴史として改めて心に刻む。2020/02/26

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