猿の見る夢

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  • サイズ B6判/ページ数 451p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062202015
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

定年前の果てなき足掻きと優越。終わらない男たちの姿を、現代社会を活写し続ける著者が峻烈な筆で描き切る! 「週刊現代」人気連載これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

自分はかなりのクラスに属する人間だ。
大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。
そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、あの女の出現から始まった――。

還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!

週刊現代読者の圧倒的支持を得た人気連載が、ついに書籍化!

桐野 夏生[キリノ ナツオ]
著・文・その他

内容説明

薄井正明、59歳。元大手銀行勤務で、出向先ではプチ・エリート生活を謳歌している。近く都内に二世帯住宅を建築予定で、十年来の愛人・美優樹との関係も良好。一方、最近は会長秘書の朝川真奈のことが気になって仕方ない。目下の悩みは社内での生き残りだが、そんな時、会長から社長のセクハラ問題を相談される。どちらにつくか、ここが人生の分かれ道―。帰宅した薄井を待っていたのは、妻が呼び寄せたという謎の占い師・長峰。この女が指し示すのは栄達の道か、それとも破滅の一歩か…

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

644
初出は2018年8月~'19年9月の「週刊現代」。その時の読者層は40~50代くらいの、主としてサラリーマンだったと思われる。私自身は会社勤めの経験が全くないために想像でしかないのだが、それは桐野夏生も変わらないかも知れない。主人公の薄井は、一応は成功したサラリーマンとして(ただし銀行からの出向組である)こんなものなのかとも思うし、幾分か逸脱しているようにも思える。50歳くらいまでを世の中を滑るように渡ってきて、さてそこからどうするのか。それは私もまた同様である。そこに強固なリアリティを感じる小説だった。2019/12/14

starbro

414
桐野夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。桐野夏生クオリティ、450P強一気読みしました。本作は[企業小説×不倫恋愛×新興宗教の夢占い]といった感じです。それにしても著者が一番愛おしい(笑)男を描いただけあって、どうしようもない主人公です。59歳にもなって、40歳台のケバイ愛人を「みゆたん」なんて呼ぶなんてキモ過ぎませんでしょうか?猿以下という事かも知れません。本作でセリーグ、パリーグ、セパ両リーグという新語を学びました!2016/09/16

ミカママ

355
桐野さんの『だから荒野』系ダメオトコの傑作長編。久しぶりに小気味よい作品読ませていただいた。あー、いるいるこういうオトコ、桐野さんいわく、愛おしいっちゃ愛おしいが。タイトルも装丁も秀逸。あたしも長峰さんにみてもらいたい、そして孔子の四猿(笑)←読めばわかる。2017/03/12

まちゃ

264
「猿の見る夢」なかなか意味深いタイトルでした。主人公・薄井はどうしようもないほど無節操な定年間近な男。登場する女性たちも自己中心的で感情移入できませんでした。でも何故か先の展開が気になって一気読み。楽しめました。さすが桐野さん、読ませますね。2016/11/27

ケンイチミズバ

225
池井戸潤さんが描けば転籍出向を命じられた元銀行マンの奮闘記になったかも。島耕作ばりの世界はどこにでもあるだろうし、自分の身の回りで起きたことが桐野さんによって描かれたみたいで、こそばゆいような痛いような感覚があった。とても面白かった。私のポジションから社長室はかなり近い(フロアが同じなだけ)ですが、定年の方がもっと近いな。お金に余裕がある男は浮気、不倫します。欲望に正直なただのヒトにすぎないが社会的地位を得てなおおろかな存在がむしろおもしろい。セパ両リーグ制覇して飛ばされた男、わが社にも結構います。2017/01/30

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