出版社内容情報
どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説出たいよ、出して。
お願いだからここから出して。
どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。
罪悪感がまったくないのは、母の愛が欲しかった私の、必然だから。
恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説。
二十歳で八十歳の巌夫と打算ずくの結婚をした麻貴は、巌夫の息子、さらに孫とも不倫をしている。ある日、ふらりと赴いた旅先で出会った女学生に抱いた気持ちは、未だかつて経験のないものだった。(「金色」)
六つの愛欲小説。
1 天国の鬼
2 肌蕾(きらい)
3 金色
4 指と首、隠れたところ
5 ろくでなし
6 泥梨(ないり)の天使(「鞄の中」より改題)
宮木 あや子[ミヤギ アヤコ]
著・文・その他
内容説明
二十歳で八十歳の巌夫と打算ずくの結婚をした麻貴は、巌夫の息子、さらに孫とも不倫をしている。ある日、ふらりと赴いた旅先で出会った女学生に抱いた気持ちは、未だかつて経験のないものだった。(「金色」)。狂おしく愛を求める女たちの物語。
著者等紹介
宮木あや子[ミヤギアヤコ]
1976年神奈川県生まれ。2006年「花宵道中」で第5回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞と読者賞をW受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
232
図書館本。閉塞感、悲壮感が漂う官能的短編集。虐待、在日問題などそれぞれテーマが違ってるのですが、重苦しさだけはどの作品も感じられました。ページめくるのに生唾飲む感じが随所に。面白いんだけど人には薦められないなぁ。2015/12/05
❁かな❁
208
お気に入りの宮木あや子さんの作品を読むのは6作目。今回は久々の宮木さんA面。6人の女性の短編集。A面作品らしく、歪んだ愛の物語が多かったです。官能的でダークで痛々しかったりして、どのお話も印象的。愛欲小説で宮木さん本領発揮って感じでとても読みやすく惹き込まれて一気読み!「天国の鬼」のみアンソロジーで既読。「指と首、隠れたところ」はドキドキし「ろくでなし」では意外と読後感良かったです*「泥梨の天使」はきつかったです^^;エロくて毒気もある作品ですが宮木さんの作品はやはり好きです!A面B面どちらもいいですね♡2015/12/20
🐾Yoko Omoto🐾
175
不実、不貞、不義理、不安、不満、不純・・・淀んだ澱のように心に溜まるいくつもの不。そんな不が、女の様々な欲を常に刺激し、制御出来ぬほどの狂おしく激しい愛情を生む。自身を育てた母親への強迫観念めいた思い、母娘の因縁の根深さ、抗いようのないものへの畏怖にも似た感覚、盲信と疲弊に自身を擦り減らしながらも、彼女らは愛情と呼ばれる檻に繋がれることに甘んじ続ける。端から見ればどれほど愚かであろうとも、それこそが疑いようもなく正しいことであるかのように…。「剥き出し」という言葉が似合う、強烈な印象を残す作品だった。2016/10/25
いつでも母さん
144
宮木あや子恐るべし!を、今回も魅せつけられた作品。喉の奥がざらつく短編6作。どれをとっても好みの分かれるものばかりだが、私は、嫌いじゃない(こればかり続くと考えものだが)帯にある『彼岸から思う存分私に石を投げるが良い』(金色より)どの話にも通ずるこのワードに殺られた。全ての女とは言わないが、女の奥底にある【愛】(私は、これを愛とはいわないが・・)が恐くて目が離せない。特に『肌蕾』が好み。この【愛】はいつか、どこかで完遂されるのか?否、愛に完遂も無いか。一人称でも愛は成就する。それを凶気と言うのだ。2015/11/12
なゆ
136
A面宮木あや子をじっくり堪能。愛欲と謳うだけあって、官能だけではない愛情の歪みや誰かへの執着がギラリと光る6編。「肌蕾」の喜紗子の正しさに隠された欲望と底意地の悪さにヒヤリ、もっとすごい展開かと思った「ろくでなし」が意外に切ない。「泥梨の天使」はホラーじゃないのにコワすぎる。よく見ると「天国の鬼」と、内容もタイトルも対極ではないのか!さらには読み終ってから目にすると深みを増す、巻頭と巻末にぽつんと綴られる一行にゾクッとするような救われるような。なんともニクイ演出。私はやっぱりこっちの宮木さんが好きだなぁ。2016/06/15