この冬の私はあの蜜柑だ

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この冬の私はあの蜜柑だ

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  • サイズ B6判/ページ数 249p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062197649
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く魅惑の9篇。

生きる切なさと夏の終わりのあの娘の涼しげな横顔。
思い止めていた告白が世界を変えていたかもしれなかったあの日。
そんなことを片岡義男さんの本を読むと思い出させてくれます。
                             ――岡村靖幸(ミュージシャン)

片岡さんの小説はなんでこんなにクセになるのだろう。
この物語のなかでずっと生きていきたい。そんな叶わぬことを思ってしまった。
                             ――窪美澄(作家)


西条美樹子と倉田明彦は高校の同級生。転居通知の葉書をきっかけに再会する。
高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が、葡萄味のアイスキャンディーを差し出したことを、
明彦は今もはっきりと覚えている。(「愛は真夏の砂浜」)

作家の矢吹優美子がひとり暮らしを始めた一軒家には、掘り炬燵が備え付けてあった。
友人の景子は、炬燵に入りに来る男性を口説くべきだと言う。
優美子はかつての同級生で俳優の修司に電話をすることに。(「この冬の私はあの蜜柑だ」)

かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。
都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。
音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。

「愛は真夏の砂浜」
「いい女さまよう」
「銭湯ビール冷奴」
「春菊とミニ・スカートで完璧」
「フォカッチャは夕暮れに焼ける」
「ティラミスを分け合う」
「あんな薄情なやつ」
「蛇の目でお迎え」
「この冬の私はあの蜜柑だ」

【著者紹介】
片岡義男(かたおか・よしお)
1940年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で作家としてデビュー。翌年発表した「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。小説『ロンサム・カウボーイ』『彼のオートバイ、彼女の島』『ミッキーは谷中で六時三十分』『たぶん、おそらく、きっとね』『去年の夏、ぼくが学んだこと』、評論『日本語の外へ』、エッセイ『言葉を生きる』、写真集『私は写真機』ほか著書多数。

内容説明

食べ物、スニーカー、ラジオ…あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。

著者等紹介

片岡義男[カタオカヨシオ]
1940年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。1974年「白い波の荒野へ」で作家としてデビュー。翌年発表した「スローなブギにしてくれ」で野性時代新人文学賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kiyoboo

27
よく昔聞いていた歌でふいにその時代の自分に戻れるというようなことがあるが、片岡義男の作品もまさにそれだった。1970-80年代の作品がよみがえってきた。オートバイ、波乗り、コーヒー、洒落た小道具、登場する女性は仕事ができて、スタイルが良く、いい女だった。ただ悲しいかな作者が歳を取り過ぎたか、昔ほどの勢いがない。以前はすぐにベッドインという設定が多かったが、今回の短編はそこまでの話は少ない。別に期待しているわけではないが(笑)思い出に浸れた時間だった。2016/02/29

うたかたの日々

6
続けて片岡義男を読みました。こんなに素敵な男性も女性に憧れます。 クールでストイックな感じで自立した人々の日常。最近あまり片岡さんの本を読んでなかったですが読みだすとクセになります。2016/10/15

ちゃかぱん

6
・このままというのは長期的に見れば下降なのよ。一年が二年になり、二年は三年で五年くらいあっという間だから。 ・こたつに入って蜜柑をむき、ひと房ずつ食べても、得られるものは具体的にはなにもない。けどそのわりに失うものもなく、完全に均衡したきわめて小さな宇宙であり、それは誰にも邪魔されない自分だけのものである。(本文より)2015/12/08

食物繊維

5
この本の中の一編に出てくる「こういう場所は東京にしかない」の言葉にハッとしました。昭和初期を連想させる場所に関しての主人公の感想なのですが、この言葉を読むまで東京は何でもすぐ壊して変わってしまう場所という印象を強く持っていたので。昔の東京の情景が残る場所って当たり前だけどそりゃ東京にしかないよなあと気づかされました。『あんな薄情な奴』という短編の結末も好き。自分の感性では分からない、他人の目の厳しさをユーモラスに教えてくれます。台詞が舞台調っぽいけど私は片岡さんの作品好きです。他人の日常は別世界だから。2023/05/09

りんご

5
片岡さんの作品 久々に読みました 期待を裏切らない内容でした これを機会に読み返すのもありかなと思いました2018/12/23

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