安倍首相の「歴史観」を問う

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062196086
  • NDC分類 304
  • Cコード C0095

出版社内容情報

昭和史研究の第一人者が安倍首相にいだく危惧。戦後70年の談話に歴史の教訓は活かされるか?あえて異をたてざるを得ない私の決意。昭和20年8月14日の日本を上空から偵察した米軍は驚いたという。降伏が決定し、爆撃を控えたにもかかわらず、日本各地で炎が舞い上がっている。その理由は後から知ることになるが、軍部の命令により戦争史料が徹底的に焼却されていたのである。もちろん、敗戦後に問われる戦争指導の責任追及をかわすためである。
昭和史の実証的研究のため、残された史料を発掘し、延べ4000人の人々から直接聞き書きを行ってきた筆者にとり、近年目につく事実を歪曲・曲解し、自分たちの立場に都合の良いように歴史解釈を図る、いわゆる歴史修正主義の動きはゆゆしき事態である。これまで重ねられてきた歴史学者・研究者の成果と誇りを傷つける動きと言ってもいい。
そのなかで特に危惧しなければならないのが、歴史修正主義者たちが権力と一体化している風潮である。8月に発表される安倍首相の「談話」には、歴史研究から得られた教訓が活かされるのか。世界的に注目を集めるそのステイトメントを前に、昭和史研究の第一人者があえて首相の立ち位置に異を唱える。
また、従軍慰安婦問題で指弾された朝日新聞の、第三者委員会のメンバーとして同問題の報道を目の当たりにしてきた筆者が、報告書には盛り込めなかった慰安婦問題の本質を書き下ろす。「軍隊と性」「戦場と性」の問題にも深く言及する。

軍服を着た首相―まえがきに代えて
第1章 謙虚に史実と向き合うということ――戦後七十年と安倍政権の歴史観
第2章 戦後民主主義の崩壊の中で――「戦時体制」にどう抗うべきか
第3章 昭和史のかたち――歴史の教訓から現在を解読する
第4章 慰安婦問題試論――「軍隊と性」をめぐる歴史的検証について


保阪 正康[ホサカ マサヤス]
著・文・その他

内容説明

「軍服を着た首相」への危惧。安倍首相はかつての軍事指導者に酷似している。―現代史研究の第一人者が、戦争と統制に突き進む現政権と、日本社会にはびこる歴史修正主義に根源からの異議を申し立てる。いまこそ昭和史の教訓を活かさなければならない。慰安婦問題を「戦場と性」という視点から再考する瞠目の書き下ろしも収録!

目次

第1章 謙虚に史実と向き合うということ―戦後七十年と安倍政権の歴史観
第2章 戦後民主主義の崩壊の中で―「戦時体制」にどう抗うべきか
第3章 昭和史のかたち―歴史の教訓から現在を解読する
第4章 慰安婦問題試論―「軍隊と性」をめぐる歴史的検証について

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939(昭和14)年、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究のために、これまでに延べ四〇〇〇人に聞き書き調査を行い、独自の執筆活動を続けている。2004(平成16)年、個人誌『昭和史講座』刊行の功績で、第五二回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハイランド

69
安倍政権はしぶとい。何度も閣僚が不祥事を起こし、自身ももりかけ問題を抱えながらも圧倒的な議席数を背景に、野党の質問にもまともに答えない傲慢な姿勢を崩さない。与党代議士もほぼ全員が首相に対する批判を口にできない独裁状態である。歯止めとなるべき官僚も人事権を首相に握られ、忖度の嵐である。問題は直接の指示ではなく忖度せざるを得ない状況そのものなのに、誰もそれを口にしない。それどころか首相の意を汲んで行政の原則を曲げた官僚が論功行賞人事で出世する。果たして安倍政権は歴史にどのような評価を受けるのか。考えさせる本。2017/12/05

matsu04

27
温厚な(と思われる)保阪氏が、安倍首相の歴史観に「愕然とする」「むしろ悲しさを感じる」などと手厳しい批判を繰り返す。さすがに堪忍袋の緒が切れたということであろうか。氏が言うように、安倍首相は確かに軍服が似合いそうではある。2015/08/03

Isamash

13
保坂氏の2015年発行著作。歴史修正主義は欧州にもあるが、歴史修正主義の考え方が社会に広がるのみならず権力と一体になってるのは日本のみとの著者の強い危機感には同意。共和党上院保守派の批判をベースに、米国国務省が首相の靖国参拝を批判したことは知らなかった。また8月14日の閣議決定で太平洋戦争に関する資料焼却を指示してたこと、慰安所設定に部隊長、主計将校、軍医のトライアングルが関与してたことや将校司令官の性の場が別にあったのも初耳。靖国遊就館で語られる主張に驚愕したが、歴史の重要情報が諸民に隠微されてる様だ。2021/10/24

Satoshi

8
安倍首相の発言と太平洋戦争前の軍人との対比により、その横暴性を述べている。従軍慰安婦問題に関しても、軍隊と性という大きなテーマを無視して朝日新聞の誤報のみにクローズアップされている不可思議さにも焦点を当てている。太平洋戦争を大東亜戦争と呼び、アジア解放の戦いと称賛するのは簡単であるが、当時の軍隊の非人道性と軍人の人命軽視は紛れも無い事実である。2015/08/21

sasha

7
そもそも安倍晋三に歴史観があるか疑問なんだけどね。昭和史の大家だけあって、昭和史に照らして現在の政治がどんどん危険な方向へ傾いていることや歴史修正主義に対して警告を発している。それは安倍晋三ばかりではない。都合のいい部分だけを取り出してさもそれだけは史実であるように声高に叫ぶ人が多くはないか?それは政治家に限らないのだけれど、権力と霊視修正主義が結び付くと本当に危険だと思うわ。講演内容な雑誌・新聞に書いたことをまとめているので繰り返しの内容が多いけれど、政権に距離を置いているからこその警鐘だと思うわ。2017/02/06

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