出版社内容情報
『夜と霧』も描けなかったアウシュヴィッツの真実。祖国のため自ら収容所へ潜入し、脱出後は祖国に抹殺されたポーランド軍大尉の生涯戦後70年である2015年は、アウシュヴィッツ解放70年でもある。1939年ナチス・ドイツに蹂躙されたポーランドは、その国内に絶滅収容所をつくられ、ユダヤ人とともにポーランド人もまた多く収容された。
本書の主人公、ヴィトルト・ピレツキはドイツに占領されたのちロンドンに移ったポーランド亡命政権の騎兵士官で、収容所の実態を世界に知らしむため、かつその解放を目指し、自ら志願してアウシュヴィッツへ潜入した。1940年9月21日のことだった。その後、収容所内に地下組織を築き、悲惨な状況を外部へ伝え、同胞のサポートに回った。しかし、ドイツ側の監視の目にその行動があぶりだされる寸前の1943年4月27日、947日間の潜伏から収容所を脱走する。
その後もナチスへの抵抗は終わらず、44年8月のワルシャワ蜂起までゲリラ戦を挑む。蜂起の失敗後はナチスの手に落ちるが、翌年ドイツは敗戦を迎える。
ナチスに対し勝利したことで、ピレツキは英雄として祖国に迎えいれられるはずだった。しかし、ナチスに変わりポーランドを支配したのはソ連だった。45年以降、ピレツキは亡命政権の一員として反共産主義の戦いを挑むようになる。ソ連の傀儡と化した革命政権下のワルシャワに潜入するも、47年に逮捕される。拷問、暗黒裁判ののち、死刑確定。48年に処刑された。その後ピレツキの名は、ポーランド史から抹殺された。その名と功績が再評価されるのには世紀が変わるまで待たなければならなかった。
プロローグ
第I部 ポーランド消滅
第II部 潜入! アウシュヴィッツの九四八日
第III部 ワルシャワ蜂起へ
第IV部 祖国との闘い そして死
エピローグ
あとがき
註
参考文献・資料
小林 公二[コバヤシ コウジ]
著・文・その他
内容説明
ヒトラーに戦いを挑み、スターリンに反旗を翻し、最期は祖国に命を奪われる。「死の淵」へ948日間潜入し、かつ脱走を果たした兵士が見た、『夜と霧』も描けなかった殺戮の真実。絶滅収容所解放から70年。歴史から40年抹殺された男の生涯。
目次
第1部 ポーランド消滅(ヴィトルト・ピレツキのうまれた時代;ドイツとソ連に挟まれて ほか)
第2部 潜入!アウシュヴィッツの九四八日(働けば自由になれる;ダブルサーティーン―収容者番号4859 ほか)
第3部 ワルシャワ蜂起へ(解放感から蘇る記憶;ドイツ兵の銃弾をくぐり抜け ほか)
第4部 祖国との闘いそして死(亡命政府と臨時政権の対立;スターリンに支配される世界 ほか)
著者等紹介
小林公二[コバヤシコウジ]
1950年三重県生まれ。法学博士。上智大学卒業後、1981~82年ポーランド国立トルン大学大学院留学。日本ポーランド協会元事務局長。現在までにアウシュヴィッツ訪問20回、ポーランド国内にあるアウシュヴィッツ以外の絶滅収容所5ヵ所をそれぞれ訪問3回。専門は平和研究。大学教員を経て、現在NPO活動に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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