日本精神史〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 530p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062194624
  • NDC分類 210.1
  • Cコード C0021

出版社内容情報

三内丸山から『東海道四谷怪談』まで、日本の文化・思想を一望のもとに描き尽くす『日本精神史』。下巻は、武士や庶民が躍動する!長くヨーロッパの文化と思想を研究対象としてきた著者は、ここ20年ほど、日本の文化と思想の研究にとりくみ、その流れを歴史的に追跡してきました。その成果がついに一書にまとまったのが、本書です。題して、『日本精神史』。
「精神」とはなにか。
ヘーゲル研究者としてスタートした著者は言う。「あえて定義づければ、人間が自然とともに生き、社会のなかに生きていく、その生きる力と生きるすがたが精神だ」。
テキストとして残された思想はもとより、土器や銅鐸、仏像、建築、絵巻、庭園など、あらゆる文化を渉猟し、縄文時代から江戸時代の終わりまでを、一望のもとに描く、まさに畢生の大作です。
ただし、著者は、難解であることを潔しとしません。ヘーゲルのわかりやすい翻訳で脚光をあびたように、あくまでも流麗な文体で、明解に描いていきます。
思想も絵画も仏像も、ひとしく日本の精神の歴史としてとらえ、あらためて、日本とはなにかを問いかける清新な傑作と言えます。
上巻は三内丸山の巨大建造物から『正法眼蔵』まででした。建築、仏像、そして仏教思想の深まりが底流にあります。
下巻は、『新古今和歌集』『愚管抄』から『東海道四谷怪談』まで。
武士の思想や、わびさび、儒学、元禄文化、浮世絵と、中世から近世にかけて、日本人の精神は多様なうねりを見せつつ近代に向かいます。そのダイナミックな流れを鮮やかに浮き彫りにします。

第十九章 『新古今和歌集』と『愚管抄』
第二十章 『平家物語』
第二十一章 御成敗式目
第二十二章 「一遍聖絵」と「蒙古襲来絵詞」
第二十三章 『徒然草』
第二十四章 『神皇正統記』
第二十五章 能と狂言
第二十六章 鹿苑寺金閣と慈照寺銀閣と竜安寺石庭
第二十七章 山水画の神々しさ
第二十八章 茶の湯――わびの美学
第二十九章 装飾芸術の拡大と洗練――宗達と光琳
第三十章 江戸の儒学――伊藤仁斎と荻生徂徠を中心に
第三十一章 元禄文化の遊戯とさびと人情――西鶴・芭蕉・近松
第三十二章 南画とその周辺――池大雅と与謝蕪村
第三十三章 本居宣長
第三十四章 鶴屋南北『東海道四谷怪談』


長谷川 宏[ハセガワ ヒロシ]
著・文・その他

内容説明

縄文の巨大建造物から江戸末まで、連続と変化の2000枚超。ヘーゲルの清新な翻訳から20年余、著者畢生の大作、ついになる!日本の美術・思想・文学を人々の精神の歴史として流麗な文体で描ききった比類なき傑作!!御成敗式目に現れる新興武士の合理性、『徒然草』の内省と明察、禅の造形美、江戸の儒学、浮世絵、そして『東海道四谷怪談』の悪の魅力まで。

目次

『新古今和歌集』と『愚管抄』―乱世を生きる貴族の誇り
『平家物語』―戦乱と滅びの文学
御成敗式目―新興武士の合理性
「一遍聖絵」と「蒙古襲来絵詞」―遊行と死と戦闘
『徒然草』―内省と明察と無常観
『神呼正統記』―敗北の書のリアリズム
能と狂言―幽玄と笑い
禅の造形美―鹿苑寺金閣と慈照寺銀閣と龍安寺石庭
山水画に宿る霊気―「那智滝図」と雪舟と「松林図屏風」
茶の湯―わびの美学
装飾芸術の拡大と洗練―宗達と光琳
江戸の儒学―伊藤仁斎・荻生徂徠を中心に
元禄文化の遊戯とさびと人情―西鶴・芭蕉・近松
南画とその周辺―池大雅と与謝蕪村
本居宣長―国学の立場
浮世絵の成立と展開―春信・歌麿・写楽・北斎・広重
鶴屋南北『東海道四谷怪談』―悪の魅力

著者等紹介

長谷川宏[ハセガワヒロシ]
1940年生まれ。東京大学大学院哲学科博士課程修了。大学闘争に参加後アカデミズムを離れ、学習塾を開くかたわら、在野の哲学者として活躍。とくにヘーゲルの明快な翻訳で高く評価される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

koji

17
この大著を読み終えた今、只々著者に頭を垂れるのみです。三内丸山遺跡から東海道四谷怪談まで全35章は、実は日本を超えた普遍的な精神の旅でした。日本人の思想は宗教性より自然観に則ったものとし、「ものの哀れ、わび、さび、幽玄」等日本文化の概念を丁寧に省察した上で、一方で此岸的で現実主義者と言われる日本人が時代に合わせた文化、思想を生み出した日本の精通は、著者が言う「目で見、耳で聞き、心身で感じる現実を言葉に定着させる世界観」をもとにし、普遍性をもたらしていきます。次は、近代の日本人の精神を辿る旅を期待します。2019/02/27

mittsko

7
読了、ため息。日本の「精神」の歴史を個人として一望のもとにとらえる… これぞ日本の人文学徒の夢! こうした著作を物しえたこと、大いに羨みます。そして、わずか「十数年の研究の日々」でそれを成し遂げたことに、素直に驚く。千ページ超えの上下巻を貫く、特定のキー概念は示されず、ただ個別の文物・文献が紹介される。あるのは、全体を見通す筆者の目と長大な散文だけだ。下巻は『新古今和歌集』から『東海道四谷怪談』まで、諸物が17の章に配置され語られる。近代には触れられず、残された課題として示される。文句なしの良書です!2018/07/27

mustache

3
2ヶ月半かけてようやく上下を読了。山水画、南画、浮世絵など絵画の構図や色調を理解しないで筆者の論述を追うのは、こちらの無教養のせいとは言え、やはり辛い。意外に面白かったのは北畠親房の神皇正統記。承久の乱の敗北の原因を頼朝の善政と民衆の支持にあったと主張しているらしい。南朝の正統性にあくまでも拘泥しながら、現実の歴史に正面から向き合った点を評価している。能狂言に関して、世阿弥の手稿が明治になって発見されて初めて、現行の能の作品が世阿弥らの手になるものだったことが認められたとする沖浦和光の卓見を紹介すべきだ。2016/03/25

あっきー

2
✴4 能と狂言、伊藤仁斎、本居宣長がよかった、特に東海道四谷怪談が最後とんでもない、古事記とこれは最初と最後最高、読みたい文化史関連本が増えた、長谷川等伯の松林図はのと里山海道のなぎさドライブウェイ付近であの松の実物が見れる2015/10/17

里のフクロウ

1
テーマである「精神」を少しでも理解しようと何度か読み返しながらなんとか完読できた。読み返すにつれて、著者が時代を代表するものとして取り上げた作品からくみ取ろうとしている精神の深さに思い知らされる。読み返すにつれ作者または作中の「人々」の「生きる力」と「生きる姿」が豊かであることに共感できるようになってきた。「精神の豊かさ」が人であることの証であることとして理解できるようになってきた。また市井の哲学者としての本領からか現代語訳にこだわっていることにも敬服した。いづれにしても中身の濃い大書であり再読したい。2017/07/27

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