森女と一休

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森女と一休

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062192491
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

読む禅修行。『法然の涙』に続く仏教小説第二弾。破戒を尽くすことで乱世に生きる道を見出した一休が出会った45歳下の女とは? 室町時代に登場した一休禅師(1394?1481)は「頓智の一休さん」として子供にも知られていますが、彼の実像は、そんな「愉快なお坊さん」からほど遠いものでした。
 北朝最後の天皇・後小松帝の落胤として生まれ、南朝出身の母と嵯峨野の民家で息を潜めて暮らします。6歳で身の安全のために出家させられますが、一度は自殺を試みます。近江の堅田にいた華叟(かそう)という厳しい禅師に出会い、年老いた師に献身的に仕えます。しかし、華叟が亡くなると一転「風狂の人」となり、堺に移って放蕩のかぎりを尽くします。
 当時の禅宗は室町幕府の庇護を受け、僧侶が漢詩の巧拙を競いあう貴族的なサロンと化していました。一休は虚構に満ちた仏教界に嫌悪を抱き、足利義政と日野富子の幕政を批判します。常識に囚われない自由滑脱の禅の神髄を身をもって示そうと、あえて肉と魚を喰らい、酒をあおり、男色を貪り、遊郭に出入りし、町の娘に子供を産ませたりしました。破戒のかぎりを尽くしましたが、晩年10年間は「森女」という40歳以上も若い盲目の女芸人と同棲しました。
 本書は、この森女と一休の物語が中心となります。
 森女と出会ってからの一休は、それまでの権威を敵視するような過激さが消え、優しさを見せます。80歳で大徳寺(臨済宗大本山)の住職となり、乱で焼けた伽藍を復興します。森女との交情のうちに人の道を見出し、真に無我無欲の境地を味わったのです。
 「仏界入りやすく、魔界入りがたし」という一休の言葉があります。型通りの修行をして得る悟りなど使い物にならず、己のうちに潜む魔性に触れた時こそ、本物の悟りが開けてくる。自らの体験からそう理解したのです。そして、応仁の乱後の日本人の精神を復興し、文化人としても能、茶の湯、俳句の原型を創造するという偉業をなしました。大陸由来ではない、自然と一体となった日本独自の文化は、一休から始まるのです。
 一休の魅力は人生と思想が一致し、その生涯を知るほどに味わいが深くなる点。天皇・庶民どちらとも親しく交流し、悪を憎まず偽善を憎み、戦乱の世にひと筋の光を示した一休の愛を描きます。

第一章 傷ついた魂
第二章 禅門の学び
第三章 仏界入り易し
第四章 聖胎長養の日々
第五章 逆行三昧
第六章 盲女琵琶
第七章 魔界入り難し


町田 宗鳳[マチダ ソウホウ]
著・文・その他

内容説明

七十七歳の純愛―帝の子に生まれながら幼くして出家。三十三で大悟の後も心中に得体の知れぬ悲哀を抱え、あえて逆行三昧に耽る。晩年、盲目の女琵琶師との邂逅により、ついに安心立命の境地を見いだす。

著者等紹介

町田宗鳳[マチダソウホウ]
1950年、京都に生まれる。中学2年の14歳で出家。以来20年間を臨済宗大本山大徳寺で修行。34歳で渡米し、ハーバード大学神学部で神学修士号、ペンシルバニア大学東洋学部で法然研究により博士号を取得。プリンストン大学東洋学部助教授、国立シンガポール大学日本研究学科准教授、東京外国語大学教授を経て、広島大学大学院総合科学研究科教授。国際教養大学客員教授、広島大学環境平和学プロジェクト研究センター長、早稲田大学国際言語文化研究所招聘研究員、日本宗教学会評議員などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

バーベナ

2
室町時代に北朝:帝と南朝:母の血を引いて産まれた千菊丸(のち一休さん)。手先が器用で、芸事のセンスもあって、禅とはなんぞ、を悩みながら実践する。常識を破りすぎて、僧侶って何?みたいな。でも、そんなあれこれを晩年を共に過ごした盲目の琵琶師:森女が、彼の淋しさをふんわりと優しく包みながら語るので、物語に吸い込まれる。良き恋人に出会えてふたりとも良かった。ふたりの会話はグッくる。あと、蓮如さんに出した手紙「あれこれ」も最高。余談ですが表紙の絵と著者はとても似ている気がする。びっくりした。2022/05/31

takao

1
ふむ2024/10/27

タキ

1
時に芸・美の達人で、時に煩悩にのたうち回る人間、一休宗純の生涯を爽やかに紡ぐ。一歩間違えれば気儘に人生を過ごしたとなるエピソードにも清々しさを感じ、信長・海舟と共に私の日本史上のアイドルだと確信。また、どこまでが「史実」で、どこからが創作かはわからないが、良寛と貞信尼とはまた違った二人の情愛には、憧れと羨ましさしか憶えない。惜しむらくは、特に森女自身の登場以降の、目あき以上に真実が見える、では無理がありすぎる描写の明瞭さに違和感が拭えなかった。しかしそれを割引いても本作は今年のトップ5に入るだろう。2015/07/16

日の丸タック

1
一休宗純⁉️ この人の本当の姿を殆ど知らなかった。 風に流され、雨にうたれ…肩肘張ることなく自然体で過ごす。 本来の姿、本物の持つ凄み‼️ 形ばかりの張りぼてを嫌う‼️ 禅の本来の姿は、げに美しきものか⁉️ 自由人 一休宗純ここにあり❗️2015/04/20

lovejoy

0
★★★★2025/06/22

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