言語起源論の系譜

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言語起源論の系譜

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  • サイズ A5判/ページ数 430p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062189750
  • NDC分類 801.02
  • Cコード C0010

出版社内容情報

神が言語を与えたのか、人間が言語を作ったのか。西洋思想史の展開の駆動力となった「言語起源論」の系譜をたどる。古代ギリシアですでに問われ、その後二千年以上にわたってヨーロッパを呪縛することになる問い――言語の起源は自然か人為か。
神の言語ヘブライ語を起源とする神学的考えが支配する長い時代が過ぎ、俗語賞揚の時代になると、それぞれの言語はそれぞれの民族の正統性を保証するものとなってゆく。「起源の言語」への要請が生んだ国民言語のバベル的乱立状況、その克服を目指す人為的普遍言語の企て。こうして人間が作る言葉は新たな「自然」を創出する。
近代を迎えたとき「起源の言語」は「言語の起源」へと方向を転換しながら、「人間とは」、「理性」「一般意志」の働きとは、「社会や国家の存在を保証するもの」とは何か、という問いへと照準し直されてゆく。
本書は、存在すらしないはずの「生成の瞬間」を求めて無数の者たちが展開した言説の流れを追い、ヨーロッパ思想史の特異性をあぶりだす。

序章 人類最初の言語を聞く
第1章 「神」が言語を与える――聖書の時代:中世から十五世紀まで
第2章 複数のアダムたち――国民言語勃興の時代:十六世紀から十七世紀へ
第3章 人間が言語を作る――「自然創出」の時代:十七世紀
第4章 起源を証明する――「社会契約」の時代:十七世紀から十八世紀へ
第5章 起源をめぐる闘争――乱立する言語起源論の時代:十八世紀
第6章 起源を復元する――言語学の時代:十八世紀から十九世紀へ
終章 「起源の言語」を語る天使たち


互 盛央[タガイ モリオ]
著・文・その他

内容説明

ギリシアから近現代にいたる「言語起源論」の流れを追えば、それはそのままヨーロッパの思想展開史に重なる。把握不能な「生成の瞬間」を、それでも見ようとした無数の試みは、近代に至って何を見出したのか?気鋭の著者、渾身の西洋思想史。

目次

序章 人類最初の言語を聞く
第1章 「神」が言語を与える―聖書の時代:中世から十五世紀まで
第2章 複数のアダムたち―国民言語勃興の時代:十六世紀から十七世紀へ
第3章 人間が言語を作る―「自然」創出の時代:十七世紀
第4章 起源を証明する―「社会契約」の時代:十七世紀から十八世紀へ
第5章 起源をめぐる闘争―乱立する言語起源論の時代:十八世紀
第6章 起源を復元する―言語学の時代:十八世紀から十九世紀へ
終章 「起源の言語」を語る天使たち

著者等紹介

互盛央[タガイモリオ]
1972年、東京都生まれ。1996年、東京大学教養学部教養学科卒業。2008年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、出版社勤務。著書『フェルディナン・ド・ソシュール―“言語学”の孤独、「一般言語学」の夢』(作品社、2009年。第二二回和辻哲郎文化賞(学術部門)、第二七回渋沢・クローデル賞(本賞))(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

95
言語が自然か、人為か。パンタグリュエルは、「自然的に言語をもっているというのは間違いだ。」自然説に対して、慣習説もある。 「バベルの塔」を例に言語展開についての記述も。 ソシュール、メルヴィル、チョムスキーが話題に。 他言語の機械翻訳を設計する際に、起源言語のような中間言語を考えるより、実用的で複数の言語体系の要素を含んでいる英語に変換した方が効率的だという経験則あり。コンパイラの変換の際にも、どのような中間言語がよいか、特定の言語(C言語、LISP等)を用いるかの選択の際にも、起源言語との比較をする事有2014/09/09

内島菫

29
そもそもが言語起源論は星の数ほどもあるそうなので、その系譜を本書の分量をもってしてもコンパクトにまとめたと言えるのだろうが、やはり少し煩雑で読みにくかった。けれども、自分なりに要所を押さえていけばかなり示唆的な本。まず言語の起源を問う行為自体に矛盾がある。三次元にいる人間が四次元内での思考を持てないように、言語の中にいる我々は、言語の起源が呼び寄せる言語の外を手に入れることはできない。2017/11/21

loanmeadime

16
暑い最中に読む本ではなかった、というのが正直なところです。ソシュールによれば存在しない「言語起源」について、無数の空論を生み出してきた主題を扱った論説をプラトンからチョムスキーまでたどります。人類の進化を習っている現代の我が身には、オランウータンと人間の間に断絶を認めないモンボド卿の考えが最もしっくり来ました。言語を扱うことは認識を扱うことなので、当然、哲学的な下地が求められるのですが、高校の倫社の時間は教師の似顔絵かきに勤しんでいた私には、その辺が大変でした。2021/08/07

Koning

15
冒頭のコンピュータによるコーパスの比較でプロトほげほげ言語を探す研究が紹介されてたんで、最終的にはノストラティックあたりのアレな学説までを紹介する物だと思っておりました。というより古典的哲学屋っぽい(実際どちらかというと言語学者というより哲学屋列伝になってたり)人間の言語の起源は如何に?という問いを2500年位に亘ってご紹介という本 だった。最終的にチョムスキーとか出てはくるけれど、個人的にはこの手のアプローチをやってどうすんだね?というトコがあったりする訳で(汗。うーん(汗2014/07/24

isao_key

12
驚くべき情報量。プラトンからチョムスキーに至るまでの言語起源論についての変遷を追っている。凡例に英語、フランス語、ドイツ語で書かれた文献からの引用はすべて原点から訳出したとあるが、これだけの冊数を原典で読みこなすとは、ただ事ではない。40代前半にして言語学の大家がなすような仕事を完成させてしまった。日本人が書いたとは思えないような論の進め方で、西洋の思想家、学者たちの学説を紹介する。読みにくい本ではないが、水準が高く、一筋縄ではいかない読み応えのある本。全編を通して、カスパー・ハウザーを中心に据えている。2016/01/17

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