出版社内容情報
神が言語を与えたのか、人間が言語を作ったのか。西洋思想史の展開の駆動力となった「言語起源論」の系譜をたどる。古代ギリシアですでに問われ、その後二千年以上にわたってヨーロッパを呪縛することになる問い――言語の起源は自然か人為か。
神の言語ヘブライ語を起源とする神学的考えが支配する長い時代が過ぎ、俗語賞揚の時代になると、それぞれの言語はそれぞれの民族の正統性を保証するものとなってゆく。「起源の言語」への要請が生んだ国民言語のバベル的乱立状況、その克服を目指す人為的普遍言語の企て。こうして人間が作る言葉は新たな「自然」を創出する。
近代を迎えたとき「起源の言語」は「言語の起源」へと方向を転換しながら、「人間とは」、「理性」「一般意志」の働きとは、「社会や国家の存在を保証するもの」とは何か、という問いへと照準し直されてゆく。
本書は、存在すらしないはずの「生成の瞬間」を求めて無数の者たちが展開した言説の流れを追い、ヨーロッパ思想史の特異性をあぶりだす。
序章 人類最初の言語を聞く
第1章 「神」が言語を与える――聖書の時代:中世から十五世紀まで
第2章 複数のアダムたち――国民言語勃興の時代:十六世紀から十七世紀へ
第3章 人間が言語を作る――「自然創出」の時代:十七世紀
第4章 起源を証明する――「社会契約」の時代:十七世紀から十八世紀へ
第5章 起源をめぐる闘争――乱立する言語起源論の時代:十八世紀
第6章 起源を復元する――言語学の時代:十八世紀から十九世紀へ
終章 「起源の言語」を語る天使たち
互 盛央[タガイ モリオ]
著・文・その他
内容説明
ギリシアから近現代にいたる「言語起源論」の流れを追えば、それはそのままヨーロッパの思想展開史に重なる。把握不能な「生成の瞬間」を、それでも見ようとした無数の試みは、近代に至って何を見出したのか?気鋭の著者、渾身の西洋思想史。
目次
序章 人類最初の言語を聞く
第1章 「神」が言語を与える―聖書の時代:中世から十五世紀まで
第2章 複数のアダムたち―国民言語勃興の時代:十六世紀から十七世紀へ
第3章 人間が言語を作る―「自然」創出の時代:十七世紀
第4章 起源を証明する―「社会契約」の時代:十七世紀から十八世紀へ
第5章 起源をめぐる闘争―乱立する言語起源論の時代:十八世紀
第6章 起源を復元する―言語学の時代:十八世紀から十九世紀へ
終章 「起源の言語」を語る天使たち
著者等紹介
互盛央[タガイモリオ]
1972年、東京都生まれ。1996年、東京大学教養学部教養学科卒業。2008年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、出版社勤務。著書『フェルディナン・ド・ソシュール―“言語学”の孤独、「一般言語学」の夢』(作品社、2009年。第二二回和辻哲郎文化賞(学術部門)、第二七回渋沢・クローデル賞(本賞))(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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