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“世界史”の哲学 東洋篇

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  • サイズ B6判/ページ数 714p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062187565
  • NDC分類 122
  • Cコード C0010

出版社内容情報

世界史の不思議といわれる中国。最高の軍事力、経済力、政治力を誇っていた帝国がなぜ西洋の後塵を拝することとなってしまったのか。12世紀頃に、知性をもつ宇宙人が地球にやってきて、その後の人類の運命について予想したならば、中国こそが近代化を主導すると断定したであろう。なぜなら、当時、経済・政治・軍事、あらゆる点においてもっとも発展した地域であったから。にもかかわらず、数百年後の世界を見れば、主導権を握ったのは、中国ではなく、ヨーロッパとアメリカを中心とした西洋となってしまった。どうしてなのか。その原因を中国社会の特異性、インドのカースト社会、仏教と一神教との相違など、精緻な思想で読み解く。イエスの誕生を根底に置いた西洋文明の成長を描いた「古代篇」「中世篇」に続く第三弾。

まえがき
第1章 世界史における圧倒的な不均衡
第2章 新大陸の非西洋/ユーラシア大陸の非西洋
第3章 受け取る皇帝/受け取らない神
第4章 「東」という歴史的単位
第5章 解脱としての自由
第6章 二つの遍歴集団
第7章 カーストの内部と外部
第8章 救済のための大きな乗り物
第9章 「空」の無関心
第10章 曼荼羅と磔刑図
第11章 インドと中国
第12章 カーストの基底としての贈与
第13章 闘争としての贈与
第14章 自分自身を贈る
第15章 双子という危険
第16章 贈与の謎を解く
第17章 供犠の時代の調停的審級
第18章 国家に向かう社会/国家に抗する社会
第19章 三国志の悪夢
第20章 驚異的な文民統制
第21章 国家は盗賊か?
第22章 華夷秩序
第23章 人は死して名を留む
第24章 皇帝権力の存立機制
第25章 「母の時代」から「父の時代」へ、そしてさらなる飛躍
第26章 文字の帝国
第27章 漢字の呪力
第28章 「天子」から「神の子」へ


大澤 真幸[オオサワ マサチ]
著・文・その他

内容説明

政治、経済、軍事、すべての面で他を圧倒していた中国文明。人類の未来が託されるべきだった東洋が西洋の後塵を拝した理由を中国という不思議の国のルーツに探る。

目次

世界史における圧倒的な不均衡
新大陸の非西洋/ユーラシア大陸の非西洋
受け取る皇帝/受け取らない神
「東」という歴史的単位
解脱としての自由
二つの遍歴集団
カーストの内部と外部
救済のための大きな乗り物
「空」の無関心
曼荼羅と磔刑図〔ほか〕

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。思想誌『THINKING「O」』主宰。2007年『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
700ページ以上ある本書で、中国とインドの宗教社会学的観点からみた特徴について大展開しているわけではありません。部分的には検討するに相応しい議論がなされてはいるものの、多くの読者が何を言っているのか分からないという感想を持つことでしょう。キリスト教とインド、中国の相同性を考察してみたり、カースト制の構造論をしてみたり、贈与論における互酬性と再配分とをインドと中国のエートスに当てはめてみたり、国家形成論に転じてみたり、漢字のエクリチュールを論じてみたりと色々に論じていますが、著者のいうほど贈与論に上手く収斂2022/02/09

壱萬弐仟縁

18
F・フクヤマ氏の本と読み比べてもよいかもしれない。 答えることよりも問うことの方に知性の働きの中心がある(24頁)。 ということは、日本の場合、高校生までの知性には 大いに問題を感じる。 大学生の4割は本を読まない、という知性の欠片もない社会に なってしまったでは知性国家とは言えない。 知識基盤社会も築かれないだろう。 A・G・フランクの『リオリエント』では、ヨーロッパ優位など なかったという(79頁)。 世界システム論I・ウォーラーステインと共に、 グローバル・エコノミー系譜を辿るには不可欠な二人。  2014/04/12

みのくま

8
中国とインドは全く似ていないように見えるが、実は「贈与」をどう処理するかのベクトルが真逆であるだけだという。究極の贈与者として皇帝がいる中国と、神への贈与(食物連鎖)の為のカースト制がそれだ。そして中国は王朝が変れどもその歴史を連続させる漢字を作り、インドはカースト制の外部に仏教(と不可触民)を作る。さて、全ての根底にある「贈与」だが、簡単に言えば受け取る事で負債を負い、それは「お返し」しなければならないとする一連の行動様式の事である。原初的な人間社会のベースに、現在でも理解できる心理が駆動しているのだ。2018/12/26

MrO

5
ページ数がページ数なんで、さっと読み進むことはできないが、ノートにメモでも取りながら、楽しむには最適な本。わかりやすい問題提起で第一章が始まるのは、古代編、中世編とも変わらないが、この前著が、比較的軸をぶらさずに議論が進行するのに比べ、東洋編の(一見するところの)ぶれの大きさは、笑ってしまうほどに大きく、かつ楽しい。かつて、「時間の比較社会学」に興奮した若い情熱が、ちろちろと再燃するような快感を覚えた。近代編が待ち遠しい。2014/10/29

マウンテンゴリラ

3
冒頭から興味のある問いかけ、世界史における圧倒的な不均衡、つまり、西洋がなぜ世界史における圧倒的優位を築くことになったのか、という問題提起にまずは引き込まれた。その一つとして、地形的な要因、ユーラシア大陸と南北アメリカ、アフリカとの違いに関するジャレド・ダイアモンドの説には、私も以前に触れ、その斬新さと説得力に大いに感心した記憶がある。本書では、それを踏まえつつ、さらに宗教的、哲学的にその理由、さらには同じユーラシア大陸の中での西洋と東洋との不均衡、を探求しようとするものであると感じられた。→(2)2020/12/31

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