存在しない小説

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  • サイズ B6判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062186834
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

大反響を呼んだ『想像ラジオ』に続く、いとうせいこうの最新作。国境を超えて私たちの「今」を描く、新たな「地球文学」が誕生した!

フィラデルフィア、ペルー辺境の村、クアラルンプール、東京、香港、クロアチアの海辺……世界各地で、未知なる小説が発見された! 国境を超えた声なき声が同時代のリアルを映す、新たな「地球文学」の誕生。

「背中から来て遠ざかる」:人生のどん詰まりから抜け出すため、フィラデルィアからニューヨーク行きのアムトラックに乗りこんだ男の回想の行方は…。
「リマから八時間」:ペルー辺境の村にやってきた日本人の小男は、この村で死んだ女の家に「存在しない小説」があるという。
「あたし」:豪雨のため浸水したクアラルンプールで、マレー人の少女はチャイナタウンに迷い込む。
「能楽堂まで」:妙見菩薩像を海に沈めた私は、過去に追われるように都内を流されていく。
「ゴールド」:極貧から成り上がり香港に通う中国人男とロシア人娼婦の愛と破局。
「オン・ザ・ビーチ」:今から10年先、クロアチアのリゾートホテルに滞在する老人が自分を監視する警備員のノートを盗み読むと…。

いま地球上のさまざまな場所で、声なき声が織りなす「存在しない小説」。はたして、「作者」は誰なのか?
「ポスト3・11の文学」として大反響を集めた前作「想像ラジオ」に続く、いとうせいこうの最新作。

「背中から来て遠ざかる」アントニオ・バルデス
「リマから八時間」ファナルド・スアレス
「あたし」ラーマト・ラマナン
「能楽堂まで」いとうせいこう
「ゴールド」王健業
「オン・ザ・ビーチ」ラルフ・アウスレンダー

【著者紹介】
いとうせいこう
1961年東京都生まれ。作家、クリエイター。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て、音楽や舞台、テレビなどの分野でも活躍。1988年、小説『ノーライフキング』でデビュー。1999年、『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞受賞。他の著書に『ワールズ・エンド・ガーデン』、『解体屋外伝』、『ゴドーは待たれながら』(戯曲)、『文芸漫談』(奥泉光との共著、文庫化にあたり『小説の聖典』と改題)、『Back 2 Back』(佐々木中との共著)など。2013年3月に刊行した16年ぶりの小説『想像ラジオ』は 第149回芥川賞候補、第26回三島由紀夫賞候補に上がるなど大きな反響を集めた。

内容説明

世界各地で、未知の小説が発見された!?はたして「作者」は誰なのか?

著者等紹介

いとうせいこう[イトウセイコウ]
1961年東京都生まれ。作家、クリエイター。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て音楽、舞台、テレビなど様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』で作家デビュー。1999年、『ボタニカル・ライフ』で第一五回講談社エッセイ賞受賞。2013年、『想像ラジオ』が第二六回三島由紀夫賞、第一四九回芥川龍之介賞の候補となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiro

90
いとうせいこうさんの作品は『想像ラジオ』に続いて2冊目。6ヶ国の作家?がフィラデルフィア、ペルー辺境の村、クアラルンプール、東京、香港、クロアチアの浜辺を舞台に、書いた‘存在しない小説’6編を収録した短編集。人種・年齢・性別・宗教・住むところ・置かれている立場等がまったく違う6人を主人公にした小説を違和感なく書ける、いとうせいこうさんには、ただすごいと思う。クアラルンプールを舞台にした、イスラム教徒の11才の女の子が、大雨の中、異教徒のチャイナタウンに迷い込んでいまう『あたし』が、特に面白かった。2014/03/01

いたろう

37
主に海外文学の翻訳小説風の文体で書かれた短編集だが、架空の小説家の書いた小説を架空の翻訳家が翻訳した「存在しない小説」として書かれている。実際にこの短編集は、世界の彼方此方を舞台にバラエティに富んでいてそれなりに面白い、と思う。それだけに、何故、そのまま発表せず、わざわざこんな面倒な設定を置いたのか少々理解に苦しむ。海外を舞台にした大仰な翻訳調の小説を書いてみたかったけど、そのまま発表することに照れがあった、ということなのかも。2014/02/04

いちろく

31
紹介していただいた本。架空の著者が描いた設定による「存在しない小説」について、訳本として描く事でアプローチしていく6つの短編の物語。面白い試みがされている小説である事は解る。ただし、他との比較になるけれど、実験小説とカテゴリ分けする程前衛的とは思え無い。幻想文学とカテゴリ分けする程虚構的なモノも感じない。私にとっては、コトバ遊びというカテゴリが合いそう。ただし、初めて著者の本を手に取ったので、これだけで世界観や作風について、自分の中で印象づけるには足らない。著者の他の本も手に取りたいと思ったのは事実。2018/07/02

Norico

31
各物語はそれぞれ面白く読めました。存在しない小説の「存在しない」定義とか、仮蜜柑氏はなぜ仮蜜柑て名前になったのか?も、いとうさんだし深い意味込めてるのかな?とか、考えだすとなにがなんだか分からなくなり…難しかった。というか半分も理解できてないんだろうなぁと思いながら読了2016/04/22

八百

27
「想像ラジオ」に次いでせいこう氏2冊目、ノリがいい!とはこういう事を言うのだろうな的な企みに満ち満ちた短編集。ぶっちゃけ言ってしまえば世界文学のパロディ(揶揄を廃した正当の)なのであるがこの出来が素晴らしくそれだけでも十二分に楽しむことができる。しかしこの作品の醍醐味はあくまでも「存在しない小説」でありこのクリエイティブな命題に挑戦しないのは勿体無さすぎる。幸いにも随所に編者解説がありわかりやすくまとめられてはいるもののやはりこの実験のレヴェルは高度で…わかったふりをしておこうw。でも面白いですよこの本2016/04/29

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