臨時軍事費特別会計―帝国日本を破滅させた魔性の制度

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臨時軍事費特別会計―帝国日本を破滅させた魔性の制度

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  • サイズ A5判/ページ数 278p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062186094
  • NDC分類 393.7
  • Cコード C0021

出版社内容情報

日本を破滅させたのは統帥権や軍部大臣現役武官制だけではない! 15年にわたる戦費を調達できた制度と日本人の欠点を抉り出す。ある時代にあっては意味があり、有効であった制度設計が、その後意図せざる国家の破滅の準備をしてしまうことがあります。戦前の大日本帝国の場合、それは三つあったと考えられます。

(1)政治の容喙をいっさい許さない統帥権
(2)倒閣の道具にされ、軍部をのざばらせることになった軍部大臣現役武官制

についてはよく知られているところですが、もうひとつ、こうした軍事面とは別に、

(3)戦争の勃発から終結までを一会計年度とする臨時軍事費特別会計制度

があります。この制度は一般会計とは異なり議会のチェックを実質的にはまったく受けることなく、日銀に国債を引き受けさせて、戦争の続くかぎり戦費を無尽蔵に調達できる「打ち出の小槌」でした。カネがなければ戦争はできません。この制度あるがゆえに、軍部は戦線を次々に拡大してゆきました。
 満洲事変から日中戦争(支那事変)にかけて、日本の景気は上向きます。国民もメディアもこれを喜んだことは事実です。しかし、戦争が続き、ついには対米戦争に突入すればすべては破綻します。臨時軍事費特別会計はいつしか国家財政の枠を超え最終的には敗戦後の超インフレを引き起こすことになります。このことへの深刻な反省が、戦後日本において国債の日銀引き受けを「財政の禁じ手」としたのです。
 いま、その「禁じ手」が解かれようとしています。暴走する財政、それをチェックできない議会、一時の好景気に幻惑されるメディアと国民を待つ運命はどのようなものなのか。
本書は従来あまり指摘されてこなかった制度と、その「魔性」について紹介し、歴史の教訓について考えます。

はじめに─なにが国家を破滅させたか
第1章 恐慌・事変・テロ
第2章 臨時軍事費特別会計の出動
第3章 経済成長なくして戦争遂行なし
第4章 日米関係のアンビバレンス
第5章 国破れて債務あり
むすびに─なにが変わったといえるのか?


鈴木 晟[スズキ アキラ]
著・文・その他

内容説明

統帥権、軍部大臣現役武官制だけが国家を滅ぼしたのではない!!カネと国民の支持がなければ戦争はできない。十五年にわたる戦費調達のからくりを明らかにし、軍部、産業界、議会とメディアの関係を抉り出す。

目次

はじめに なにが国家を破滅させたか
第1章 恐慌・事変・テロ
第2章 臨時軍事費特別会計の出動
第3章 経済成長なくして戦争遂行なし
第4章 日米の対立と相互依存
第5章 国破れて債務あり
むすびに なにが変わったと言えるのか

著者等紹介

鈴木晟[スズキアキラ]
宮城県石巻市出身。石巻高等学校、早稲田大学法学部卒業。同大学院修士課程修了。以来、現在に至るまで外交史・日米関係史の研究に従事。都内・近県の大学で外交史・日米関係史を講じた経験をもつ。現在は、大学受験予備校で「世界史」の教育にたずさわっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

電羊齋

4
「臨時軍事費特別会計」の概要自体はわかりやすく書かれているが、全体的に記述のバランスが悪い。著者自身による考察が不足しているし、対米戦突入以降の状況については軽く触れる程度。そして、内容が横道にそれる箇所が多い。2017/05/20

う みの

1
これは素晴らしい名著である。軍が動くにはカネがいる。そして近代国家において、軍や国がカネを使うには、議会の承認がいる。先の大戦で軍部が暴走できたのは、必要なカネが何らかの形でファイナンスされていたからである。本書は、議会が財政を律する機能を放棄していった過程を、非常にわかりやすく描写している。先の大戦で責められるべきは軍部だけではない。そのファイナンスをろくに審議もせず認めた議会も、それを煽ったマスコミも、そしてそれを支持した国民も、まさに挙国一致して、国を滅ぼしたのではなかったか。2021/10/29

秋津

1
開戦から終戦までを一会計年度とし、内容の詳細が示されないことや戦時中の決算が行われないことから議会などのチェックが働かず、経済面で日本を破滅に追い込んだ制度についての一冊。制度の概要について知ることはできましたが、記述が横道にそれることが多く、考察まで至っていないような印象。「会計管理は敗戦に近づくにつれ「相当ルーズ」にな」っていく様子の詳細や大蔵省が当時どう行動したかなど知りたかったなという感じ。満洲国の評価だとかルーズベルト米大統領の日本人観だとかは本書のテーマにとってはどうでもよいのでは?と。2015/06/07

Satoshi

1
大日本帝国が日中戦争や太平洋戦争を戦う費用をねん出したのかという素朴な疑問を説明してくれるかと思ったが、その点にはそこまで触れることは無かった。ただ、巻末に当時の日本は軍部・政府・官僚・マスコミ・国民が挙国一致で自滅への道を歩んだという表現には改めて納得させられた。2014/12/14

司行方

1
このタイトルから期待したことはあまり載っていなかった 中華民国のルール違反や、筆者の蒋介石評、開戦の詔勅全文等を載せるくらいだったら、実際に臨時軍事費特別会計を使っていた人の回想や、軍内部での監査がどうなっていたのか、安易に臨時軍事費特別会計を使う人と使わない人の差などを記して欲しかった。2014/01/19

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