出版社内容情報
自由の謳歌と敗北の屈辱と。 ふたつの感情があざなって「戦後」は形成された。ふとしたことから噴出するわれわれの無意識に向き合う【本文から】
国家がもっている記憶の集積としての歴史について、それに一定の敬意を払うことは当然ですが、それに服従しなければいけない、それと一致しなければならないという歴史教育はおかしい。みずからが、国家がもっている記憶の集積にたいして、地域や家族の記憶を突き合わせて「どこがどうちがうんだろうか」と自律しながら見ていく目は必要ですね。(保阪正康)
地益を地域のなかに生きている人びとがしっかりと自覚し、その地益に基づいて、地域と地域とが広域的に結びつく可能性に開かれていくならば、われわれは歴史の轍を踏まないで、これからの未来に、若い世代に、新しい日本、新しい朝鮮半島の可能性を用意してあげられるのではないかと思います。(姜尚中)
このところの憲法を変えろという議論に象徴される、威勢のいい、勇ましい傾向は、ある種の葛藤、集合的な無意識だと私は思っているんです。みんながほんとうに本質的にこれが正しいと思って論理的に選択しているのではなく、「見たくないもの」を回避するための症状ですね。(香山リカ)
ナショナリズムの教訓 保阪正康
大通の四丁目/もっと地べたにおろしたかたちで/「おまえん家、どっから来たの?」/近代日本の縮図/第七師団の運命/またも負けたか八聯隊/蓄積をもつまえに……/言葉が外に出てこない/徴兵逃れ祈願/タテマエがホンネを押しつぶす/この素朴な感情こそが
もっと「多事争論」を 姜尚中
『伝道の書』/筑紫哲也さん/領土問題や歴史問題になると……/マッカーシズム/不寝番の役割/室原知幸という人/愛郷心なくして愛国心はありえない/小の虫にも/ローカル・インタレスト/人間は新しい次元に進むことのできる存在
「こころのケア」の歴史と未来 香山リカ
領域としてはまだ百年ちょっと/「ディブリーフィング」/PFA/九・一一の衝撃/してほしくなかったこと/なにをいまさらエラそうに/当事者のほうがよく知っている/もっと敬意を払いながら/あやまちては……/変える勇気
トークセッション
記憶の引き出し/フロイトと「見たくないもの」/日本人の情報行動/メディアを比較衡量する習慣/「知る権利」と購読料/「歴女」「腐女子」の想像力/記憶を突き合わせて/ケアの欠落/記憶の暗殺者たち/「生もの」と「干物」/「防衛機制」/ドイツ精神医学界の謝罪/「権威」が「権威」であるために/ナッシュビルのできごと/彼らは日本で……/「わかった。君とはいっしょに仕事できる」/加害・被害の問題/わたくしとあなた、あの山この川
保阪 正康[ホサカ マサヤス]
著・文・その他
姜 尚中[カン サンジュン]
著・文・その他
香山 リカ[カヤマ リカ]
著・文・その他
内容説明
自由の謳歌と敗北の屈辱と…。ふたつの相反する感情があざなって「戦後」の時空間は形成された。ふとしたことから噴出するわれわれの無意識とナショナリズムの関係に光をあてる。
目次
ナショナリズムの教訓(保阪正康)(大通の四丁目;もっと地べたにおろしたかたちで ほか)
もっと「多事争論」を(姜尚中)(『伝道の書』;筑紫哲也さん ほか)
「こころのケア」の歴史と未来(香山リカ)(領域としてはまだ百年ちょっと;「ディブリーフィング」 ほか)
トークセッション(記憶の引き出し;フロイトと「見たくないもの」 ほか)
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒業。ノンフィクション作家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究を志し、延べ4000人もの関係者たちに取材してその肉声を記録してきた。個人誌『昭和史講座』を中心とする一連の研究で、第52回菊池寛賞を受賞
姜尚中[カンサンジュン]
1950年、熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。旧西ドイツ、エアランゲン大学に留学の後、国際基督教大学助教授・准教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授を経て、聖学院大学教授。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍
香山リカ[カヤマリカ]
1960年、札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。専門は精神病理学。豊富な臨床経験を生かして、現代人のこころの問題を中心にさまざまなメディアで発言を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ヒデミン@もも
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
星辺気楽
景
星辺気楽