少年口伝隊一九四五

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  • サイズ A5判/ページ数 80p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784062183628
  • NDC分類 K912
  • Cコード C8093

出版社内容情報

原爆投下後の広島。新聞の代わりにニュースを口頭で伝え歩いた少年たちの姿を描く。井上ひさしの名作朗読劇をイラスト入りの単行本で 「少年口伝隊一九四五」は、井上ひさし氏が広島の被爆者の姿を描いた、2008年初演の朗読劇です。
 この台本に、ヒラノトシユキ氏による描きおろしイラストを添えて、小学生から読める戦争の物語として刊行します。

 「少年口伝隊」は、原爆投下後、印刷機能を失った中国新聞社がニュースを口伝えで知らせる「口伝隊」を組織したという事実をもとに書かれた朗読劇です。広島の惨状と、その中で懸命に生き、死んでいく少年たちの姿が胸を打ちます。

 井上氏が2010年に他界してからも、「少年口伝隊」は繰り返し公演されています。井上ひさしさんのメッセージを、子ども読者にも伝わりやすい形にした本書は、未来に残したい一冊です。

●あらすじ
 1945年8月6日朝、米軍機が投下した原爆によって広島は壊滅した。広島の日治山のふもとに住む国民学校6年生の英彦、正夫、勝利の少年3人はかろうじて生き残ったものの、そろって家族を失った。3人は、新聞を発行できなくなった中国新聞社が急きょ組織した口伝隊に雇われ、ニュースを口頭で市民たちに伝える。
 しかしニュースの内容を知って、少年たちは大人たちの変節ぶりに激しい怒りをおぼえる。また、アメリカが原爆の「効果」の調査団を送りこんでいると聞いて、英彦の頭の中はくやしさで煮えたぎる。
 9月になると、巨大台風、やらに山津波と高潮が広島を襲い、勝利は水害で命を落とす。正夫も原爆症で死去。15年後、英彦も原爆症のため、20代の若さで世を去る。

井上 ひさし[イノウエ ヒサシ]
著・文・その他

ヒラノ トシユキ[ヒラノ トシユキ]
著・文・その他

内容説明

原爆で家族を失った3人の少年、英彦、正夫、勝利は、新聞を発行できなくなった中国新聞社にやとわれ、「口伝隊」の一員として、ニュースを口頭で人々に伝える。そして1か月後、原爆で壊滅した広島を、巨大台風が襲う―。「戦争」「災害」「放射能」の中で、懸命に生きようとした少年たちを描いた井上ひさしの朗読劇を、印象的なイラストとともに単行本化。

著者等紹介

井上ひさし[イノウエヒサシ]
1934年山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。劇作家、小説家。直木賞、読売文学賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞ほか受賞多数。2009年、日本芸術院会員に選ばれる。「九条の会」の呼びかけ人の一人であり、憲法の大切さを訴える活動にも力を注いだ。2010年4月9日、肺がんのため逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

353
国民学校の6年生(英彦、正夫、勝利)3人を軸にヒロシマを語る。スタイルは戯曲と散文の中間的な趣き。実際に舞台で演じることも可能だが、むしろ朗読劇に相応しいか。ヒロシマを描いた井上芝居では『父と暮らせば』が名高いが、あの作品では被爆体験を描きつつも、そこに軽妙洒脱な明るさを漂わせていた。もちろん、それこそはヒロシマの希望だったのだが。一方、本作はより深刻でリアルな現実に向き合う形を取る。広島方言(しかも当時の)、比治山をはじめとした土地鑑ともに徹底した調査の元に書かれていることを如実にうかがわせる。2022/06/04

新地学@児童書病発動中

96
井上ひさし氏による朗読劇。原爆投下直後の広島の悲惨な状況を少年の視点から分かりやすく描いている。悲惨というより凄惨、地獄と言ったほうが良いかもしれない。原爆によって新聞が発行できなくなり、口伝でニュースを伝えたことは初めて知った。それから原爆投下後の約1ヶ月後に台風が来て、多くの人が亡くなったことも知らなかった。私の場合、広島の原爆についての知識は浅いことがよく分かった。こんな本をこれからも読んで深める必要があると思う。それが被爆国に生まれた日本人の務めだという気がした。2014/01/11

国士舘大学そっくりおじさん・寺

84
今年もまた原爆記念日が近づいた。晩年広島ものの芝居が好評を博した井上ひさしが書いた話を少年向けにした絵本。徹底的な方言など、さすが井上ひさし、惨劇の数々の描写など、さすが上手いと思うものがある。淡々と原爆投下の詳細を描く。生き残った三人の少年が、新聞印刷不能な為に中国新聞社が結成した口伝隊の手伝いをする。その過程に出て来るあらゆる批判がもっともである。そして意外と知られていない、被爆後の広島を襲った自然災害・枕崎台風の被害も描かれる。そして哲学じいさんの、子供達への願い。一読の価値あり。2015/07/28

ルピナスさん

65
広島は街の中心部でも山と川と海の全てを感じることができる、とても美しい私の故郷。だから、幼い頃から沢山の平和学習を受け育ったが、原爆前に空襲がなかった理由を米大統領が「(無傷にしておいて一発の原爆にどれだけ威力があるかを知るために)空襲の処女地で原爆の威力を見たいのですよ」と英首相に伝えるシーン等、悔しくて涙が堪えられなかった。原爆の僅か1か月半後の台風で更に数千人が亡くなったのは余り知られていない事実。口伝隊の少年達も原爆症は逃れられなかったが、亡くなった子供達の分も戦争の終わった世界で生きて欲しかった2022/07/08

けんとまん1007

64
「広島」が「HIROSIMA」になった日とその後。その後について語られていないことが、いかにたくさんあるのかを考える。人は、それぞれの立場で、いかに違うことを発するのかを痛感する。また、自然の猛威ということも、考える。井上ひさしさんの文章だけでなく、ヒラノトシユキさんの絵が、心に迫ってくる。まさに、今、手に取るべき1冊。戦争は、何も得るものがないこと、自然の猛威や人災からの復興などと、軽々しく言えないということ。2022/05/06

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