放射線を浴びたX年後

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放射線を浴びたX年後

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062181631
  • NDC分類 369.37
  • Cコード C0095

出版社内容情報

全国劇場公開、ギャラクシー賞、日本放送連盟賞ほか各賞総ナメ。封印されたビキニ事件の真相を追う、執念のノンフィクション。今からちょうど60年前。
そしてあの3.11、福島第一原発の事故から遡ること57年前。
1954年、南海のビキニ環礁で、アメリカによる水爆実験が6回にわたり行われた。

ここでの被ばくは、有名な第五福竜丸だけではなかった。
長きにわたり隠蔽されていた、もう一つの、そして甚大な被ばく――。
この海域で何も知らずに操業していた、数多くのマグロ漁船。
その乗組員が大量の死の灰を浴びていたのだ。
そして屈強な海の男たちは、やがて40代、50代の若さで癌や心臓病を発症し、次々と亡くなっていった……。

その実態を明かすべく、高知県の高校教師と生徒たちが
当事者に聞き取り調査を続けていたことを知ったテレビディレクターは、
8年にわたってその成果を取材し映像化。

焼き場で夫の遺骨を拾った妻は
「他の人の骨はすっきり残っちょるけん、うちのお父さんのはぐちゃぐちゃになっとった」
と語る。

「(被ばくと健康被害について)ひとことでも言ったらここでは生きていけんかった。
あん時代、日本は石炭とサカナで立て直すほかなかったけん」
「いっつの時代も、損をするのは弱い者ばっかりよ」

夫を亡くした妻たちが絞り出す言葉。

200万ドルと引き替えに真相は隠蔽され、
遺族たちは大黒柱の死について語ることも許されなかった。

この犯罪的な「ヒバク」の全貌解明に挑み、絶賛を集めた映画
『X年後』を撮影ディレクター自らが執筆し書籍化。

「ただちに健康に影響はない」。
その「ただちに」から「X年後」、何が起こるかを読者は知ることになる。

序章   一九五四年に何が起こったか
第一章 初めての調査報道
第二章 沈黙を破った生存者たち
第三章 機密資料と幻の資料
第四章 それでも撮り続ける
終章   「3・11」も「ビキニ」も終わらない
あとがき


伊東 英朗[イトウ ヒデアキ]
著・文・その他

内容説明

被ばくしたのは第五福竜丸だけではなかった…半世紀前に葬られたビキニ水爆実験の真相に迫った話題のドキュメンタリー映画、ついに書籍化!!

目次

序章 一九五四年に何が起こったか
第1章 初めての調査報道
第2章 沈黙を破った生存者たち
第3章 機密資料と幻の資料
第4章 それでも撮り続ける
終章 「3・11」も「ビキニ」も終わらない

著者等紹介

伊東英朗[イトウヒデアキ]
南海放送ディレクター。1960年愛媛県生まれ。1993年からビデオアーティストとして、バンクーバー国際映画祭、ベルリンビデオフェスト、イギリス短編映画祭など海外映画祭で招待上映を重ねる。2002年からはドキュメンタリー番組制作を開始、『一片のいのち』は日本民間放送連盟賞優秀賞を受賞。2004年から取材を始めた太平洋核実験による被ばく問題では、『わしも死の海におった』で、「『地方の時代』映像祭」グランプリ、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。映画『放射線を浴びたX年後』は2012年の全国公開から多大な反響を呼び、同年のキネマ旬報ベストテン入り、ギャラクシー賞報道活動部門大賞など、数多くの賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobuko Hashimoto

25
春休みに東京の第五福竜丸展示館に行ってみつけた本書の漫画版がたいへん衝撃的で面白かったので、原作も読む。アメリカによる太平洋核実験に遭遇した漁船は、第五福竜丸だけではなく延べ900隻ほどあり、その乗員の多くが働き盛りに亡くなったり、病気や骨の異常を発症したりしているという。しかしそうした被害の実情や補償は注目されることなく忘れられてきた。高知の高校の先生と高校生たちが関係者を訪ね、地道に調査を続けているのを知った愛媛のTVディレクターが、独自の調査も加えてまとめ上げたのが本書である。2022/04/25

ぜんこう

23
ビキニの水爆実験=第五福竜丸やと思ってたけど、第五福竜丸以外にも1000隻近い船が被災していた。全く知りませんでしたし、そう思わせる思惑があったような。日本にも放射能の雨が降ったことも聞いたような気もするがあらためて驚いた。これと同じことが福島でも繰り返されようとしているんですね。いい本を紹介してくれた読友さん、ありがとう ■真実は『その時』は隠されている。多くの時を経て、多くの犠牲者が出て、やっと、少しだけ明らかになる。■『何か起こっているのかわからない』ということは、『何も起こっていない』とする。2017/05/09

那由田 忠

21
南太平洋で何度も繰り返された原水爆実験。大気圏に放射性物質がばらまかれて、近くでマグロを捕った漁船や日本に降り注いだ。第五福竜丸だけに起こった不幸であると歪曲され、忘れられてしまった。高知県などの元船員を訪ねて「仲間が若くして死んでしまった」ことを確認した記録。福島の原発事故以来、ようやくドキュメントが注目された。問題は、著者が放射線の危険性を正確に理解せず、マグロの肉には問題ないが、内蔵はきわめて危険でそれらを船員が食べたこと。55年の日米の政治決着を密約のように語るが、全て国会ですぐに説明されている。2019/08/12

アイス1億円

9
福竜丸以外にも被爆していた船があった。しかも、それはひとつやふたつではない。被爆したと名乗り出れば仕事に差し支え、収入がなくなる。だから黙っていた。この事実が広く世間に知れ渡りますように。2017/02/05

わらわら

6
南海放送ディレクター伊東英朗氏は2004年にネットでこの事件(1954年から始まるアメリカの水爆実験による諸々被爆)出会った。そこから始まる苦悩の取材と葛藤…途方に暮れる日々。2004年5月「わしも死の海におった」が南海放送で放送される。伊東氏の葛藤、被爆で亡くなったと思う船員さんの真実。新藤監督のメッセジーも胸を打つ。2013年に映画化された作品が室戸市で放映され、それを見た川口美砂さんが父の死に疑問をもち、伊東氏と取材が続き「X年後2」が上映されています。日本人としてこの事件を知っておくべきだと思う。2016/05/05

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