おみやげと鉄道―名物で語る日本近代史

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  • サイズ B6判/ページ数 290p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062181563
  • NDC分類 689.5
  • Cコード C0021

出版社内容情報

おみやげは、世界無二の文化である。鉄道・軍隊・博覧会…近代の装置と土地の歴史とが生んだ奇妙で愛すべき存在を、本気で考察する!日本各地に無数に存在する「おみやげ」は、実は日本近代が生んだ独特の文化だった!

鉄道をはじめとした「近代の装置」が、土地の歴史や産物とむすびついて「名物」が生み出されていくさまを、膨大な史料を徹底的に読み込んで、鮮やかに描き出す! きびだんごはなぜ岡山名物なのか、安倍川餅は餅ではなく「求肥」、赤福は実は新しい伊勢名物だった、北海道になぜバナナ饅頭があるのか……こんなトリビアからはじまる本格歴史研究!

団子ひとつにも歴史ドラマがつまっている!

序章 おみやげの起源とおみやげ文化
 日本の特異なおみやげ文化/神社仏閣とおみやげの起源/「名物」と「みやげ」
第1章 鉄道と近代おみやげの登場
 鉄道の開通と名物の変容/安倍川餅と山葵漬/黍団子と吉備団子/八つ橋、メジャーになるまでの遠い道 ほか
第2章 近代伊勢参宮と赤福
 明治天皇に届けられた赤福/近鉄電車と構内販売 ほか
第3章 博覧会と名物
 博覧会と名物の創出/「外客誘致」とおみやげ改良 ほか
第4章 帝国日本の拡大と名物の展開
 近世後期に生まれた宮島細工/創出の物語──もみじ饅頭と伊藤博文伝説/バナナと北海道/新領土台湾とおみやげ ほか
第5章 温泉観光とおみやげ
 昭和から観光化が進展/温泉饅頭の誕生/坊っちゃんはどこで団子を食べたのか ほか
第6章 現代社会の変容とおみやげ
 ドライブインの登場/おみやげ屋+レストラン=ドライブイン/高速な交通機関がもたらす変容/当初は不人気だった萩の月/イメージ戦略が当たった白い恋人/東京駅と羽田空港の発展に合わせて/バナナと「ばな奈」/「いやげ物」とペナント ほか
終章 近代の国民経験とおみやげ


鈴木 勇一郎[スズキ ユウイチロウ]
著・文・その他

内容説明

日本各地の駅を訪れると、饅頭や羊羹、弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」のようなものは見あたらない)。この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった―。近代おみやげの誕生と発展のありさまを描き出す、本格的歴史研究。

目次

序章 おみやげの起源とおみやげ文化
第1章 鉄道と近代おみやげの登場
第2章 近代伊勢参宮と赤福
第3章 博覧会と名物
第4章 帝国日本の拡大と名物の展開
第5章 温泉観光とおみやげ
第6章 現代社会の変容とおみやげ
終章 近代の国民経験とおみやげ

著者等紹介

鈴木勇一郎[スズキユウイチロウ]
1972年、和歌山県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(歴史学)。専攻は日本近代史、近代都市史。現在、立教大学立教学院史資料センター学術調査員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

40
2013年刊。かつて名物は現地で食べるもの、土産は嵩張らない絵などだった。鉄道は土産を大いに発展させ、土産にとって重要な「由緒」にも影響を及ぼした。例えば日清戦争の帰還兵は多くが広島から鉄道に乗り、この時売られた吉備団子は岡山名物になりおおせる。鉄道路線を外れた名物が衰微したり、鉄道により修学旅行(で買う土産)が一般化したり、複雑に関係している。本書では、赤福、もみじ饅頭、東京ばな奈など色んな土産の細かな盛衰も読みどころ。大正末期の東海道線人気土産は①柿羊羹(大垣)②八ツ橋(京都)③粟おこし(大阪)。2025/04/13

はちてん

38
表紙のイメージより内容は硬派。日本人のお土産は他人のために選ぶ、海外の殆どは自分の旅記念で選ぶ、スーベニア。なるほど。ひと昔前、名物に旨いものなしなどと酷評されていたが、現代のお土産は違う。食品保存の進化、移動時間のスピード化。 今は『おとりよせ』の時代、お土産の意味も変わる。日本人も自分のためのお土産になっていく。蘊蓄は面白いが文章力が…なので、ザンネン。2014/08/12

雲をみるひと

28
主に日清戦争期からバブル期前くらいまでのお土産の変遷を論じた本。長い間、国内移動の中心が鉄道だったため鉄道との関係を論じた箇所が多いが、江戸期、温泉やモータリゼーションとの関係も取り上げられており、あくまで主役はお土産。マニアックなテーマではあるが、日本でお土産イコールお菓子となった経緯や八つ橋、赤福、もみじ饅頭といった有名お菓子がカバーされている点で誰でも楽しめる内容になっていると思う。2023/01/28

Nobuko Hashimoto

28
日本のおみやげの特徴や変遷を史資料から紐解いた本。面白かった! 日本の場合、個人の記念としてのスーベニールよりも、餞別のお返しの要素が強い。保存技術や交通手段が発達して、その土地にまつわる食べ物が好まれるようになるが、実はこじつけだったり、ビジネスのために生み出されたりしたものが多く、故事に由来する歴史あるものは案外少ないという。その中で我が草津名物姥が餅は古くから評判も良く、今も売られている数少ない例というのがちょっと誇らしい。そして、JTBよりも古い歴史をもつ日本旅行も草津の会社なのだった!2022/03/19

ようはん

15
明治時代辺りからの日本におけるお土産文化の発展史。タイトル通り鉄道の登場が現在に繋がるお土産文化を発展させた訳であるけど、他にも軍隊や博覧会も大きな影響を与えているのも解説。萩の月や東京ばな奈辺りの誕生秘話なんかも初めて知って面白かった。2021/02/07

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