空白を満たしなさい

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  • サイズ B6判/ページ数 493p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062180320
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

自殺から「生き返った」会社員が、自らの死因を追求して辿りついた真相とは・・・?現代の生と死、そして幸福の意味を問う衝撃作!ある日、勤務先の会社の会議室で目覚めた土屋徹生は、自分が3年前に死亡したことを知らされる。死因は「自殺」。しかし、愛する妻と幼い息子に恵まれ、新商品の開発に情熱を注いでいた当時の自分に自殺する理由など考えられない。じつは自分は殺されたのではないか。とすれば犯人は誰なのか、そして目的は? 記憶から失われた自らの死の謎を追求していく徹生が、やがてたどりついた真相とは・・・? ミステリー仕立てのストーリーを通し、自殺者3万人を超える現代の生と死、そして幸福の意味を問う傑作長編小説!講談社現代新書『私とは何か 「個人」から「分人」へ』と併せて現代のテーマに向き合う注目作。モーニング連載の話題作。

第一章 生き返った男
 1 《Save Me》
 2 傷痕
 3 妻が明かす事実
 4 俺はそんな人間じゃない!

第二章 人殺しの影
 5 開封された死
 6 居場所はもうない
 7 佐伯という男
 8 遺伝子が泣いている

第三章 惑乱の渦中へ
 9 不意打ち
 10 母と妻
 11 交わり
 12 「人間だもの」

第四章 過去が明るみに
 13 人が人を殺す時
 14 誘惑者
 15 幸福への抜け道
 16 打ち砕かれた過去、そして未来

第五章 茫然自失
 17 まったく身に覚えのない声
 18 絶望的な反復
 19 帰郷
 20 生き残した人生

第六章 決定的な証拠
 21 復生者たち
 22 再生された空白
 23 死後の世界
 24 千佳の「秘密」?

第七章 楽園追放
 25 反人間的な、あまりに反人間的な
 26 「で、これの何が面白いんですか?」
 27 アダムとエヴァが、いなくなったあとのエデン
 28 死は傲慢に、人生を染める

第八章 勝者なき戦い
 29 どこにも痕のない咬み傷
 30 氾濫する自画像
 31 ゴッホ殺しの犯人
 32 消された文字

第九章 真相
 33 蘇る記憶
 34 最後の一念
 35 終点まで止まらない電車
 36 生の麻薬

第十章 夢のような一時
 37 再出発
 38 死者の居場所
 39 幸福の手応え
 40 隠しごと

第十一章 空白を満たしなさい
 41 消えゆく命
 42 言わずには、いられなかった
 43 「空白を満たしなさい」
 44 もう夜には後戻り出来ない
 45 永遠と一瞬


平野 啓一郎[ヒラノ ケイイチロウ]
著・文・その他

内容説明

世界各地で、死んだ人間がよみがえる「復生者」のニュースが報じられていた。生き返った彼らを、家族は、職場は、受け入れるのか。土屋徹生は36歳。3年前に自殺したサラリーマン、復生者の一人だ。自分は、なぜ死んだのか?自らの死の理由を追い求める中で、彼は人が生きる意味、死んでいく意味を知る―。私たちは、ひとりでは決してない。新たな死生観を描いて感動を呼ぶ傑作長編小説。

著者等紹介

平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975年、愛知県生まれ。京都大学法学部卒。98年「日蝕」でデビュー。同作が第120回芥川賞を受賞する。2009年『決壊』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

れみ

135
3年前に死んで生き返った主人公・徹生が自分の死の真相やこれからの生き方を家族や周りの人とともに考えようとするお話。色々なことが未消化なまま読み終わったけど、“分人”という考え方は何となく分かるなあと思ったのと、死んだ後も思い出や影響としてこの世に残るというところが、少し前に読んだ伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」とも重なって興味深かった。2014/05/04

優希

125
生死がテーマなので、かなり重みがありました。死ぬこと、生きること、幸せとは何かという哲学を追い求める中での困難が語られていきますが、そこにある分人という考えには共感が持てました。死から蘇るということはありえないことですが、あえてそれを描くことで追及していく生死の意味。小説でありながら、思想を語る作品のようにも感じられます。2017/12/08

かみぶくろ

123
ラストでおもいっきし泣きました、再読なのに。自然に画が頭に浮かぶ、あまりに美しいシーンだ。平野さんの小説、大好きです。2016/08/20

R

120
死人が蘇る、復生者と呼ばれる人たちが突然現れはじめた、そんな世界の戸惑い、なにより本人たちの不安、なんのためにそうなったのかと考えてしまうんだが、物語はそういうところに落ち着かない。この不可思議な状況から、人間のありかた、誰かと接している自分は、別の誰かと接している自分とは違う人物で、それらの集合体が自分であるのではという哲学的な思考を物語として体感していく。その集合が欠けた時、それを満たすのは何か、自分を形作るものを考える物語だった。2021/12/13

yumimiy

116
家読みで三島の「命売ります」、外読みで「空白を満たしなさい」どちらも自殺から始まる。この並行読みはお薦めですw、自殺に失敗した男が命を売る一方、自殺に成功した男は生き返り苦悩する。交互に読んで思ったのは、そんなに急がなくても遅かれ早かれいずれ死ぬのになぁ。本書の分人主義だが、個人ではなく分人の集合体は都合がいい。ストレスを分散できる。嫌な対象はパッパッと切って関わっていた分人を開放しよう。辛い分人、悲しみの分人、苦しみの分人、泣いている分人、み~んな自分なんだから手を繋いで輪になって踊ろう~♪人生短しだよ2022/08/09

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