出版社内容情報
全世界で４億５千万冊を売り上げた「ハリー・ポッター」シリーズ完結から５年、J.K.ローリング初の大人向け本格長編小説、待望の日本語版いよいよ刊行へ！
イギリスの小さな町、パグフォード。バリー・フェアブラザーという住人が４０代の若さで突然亡くなり町民を驚かせた。パグフォードは石畳の広場や古い僧院がある、一見牧歌的などこにでもある町だ。しかし小さいながら見た目とは異なり、この町は実にさまざまな対立を抱えていた――富める者と貧しい者、ティーンエイジャーと親たち、妻と夫、教師と生徒――。実はバリー・フェアブラザーは教区会評議委員のメンバーだったが、突然の死去による空席によって、予想だにしない騒動が町を揺るがすことになる！ 怒り、憎しみ、二枚舌、さらには思いもかけない秘密の暴露……。当代きってのストーリー・テラー、J.K.ローリングが満を持して放つ最新作。かつての少年・少女たちはもちろん、新しい読者をも魔法にかける本格的長編小説の誕生！
■ casual vacancy とは：英語の慣用句。構成メンバーの突然の死亡、辞任、資格不備等によって、公的・私的な議会、委員会、集い等に思いがけなく空席が生じること。
内容説明
人は誰でも心に空席がある…きっと忘れられない読書体験になる！胸を締め付けられる結末へ強く、そして深く、あなたの心に届く―米英ほか９ヵ国でベストセラー。
1 ～ 2件／全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす＠灯れ松明の火
61
町の議会にたった一つ空いた空席は、急所を穿った銃痕の様。血の代わりに噴き出した人の不満。皆何かが足りなくて、一つだけ埋まらなかったパズルのピース。親の愛情、温かな家庭、惨めな自分への自信、好きな人の心、友人より一歩先行く経験、完璧な夫の顧みられなかった家庭愛、富、名誉、健康、安定。たった一つ、本物【オーセンティック】なものを求めた人々。地方議会のただ一つの空席が埋まった夜、町は本当の悲劇に染まる。最後のピースは血に塗れて結局は不完全のまま。どうしたら幸福になれるの？【混沌】それこそが人のオーセンティック。2013/04/13
ゆのん
46
面白くて貴重な連休を使って徹夜で読んでしまった。面白い本は何度読んでも面白いと改めて実感。心が痛くなるような辛い事件もあってその箇所を読んでいる時はハリーポッターの世界に逃げたくなる。登場人物の描写が素晴らしくて背中を押されるようにページをめくってしまった。また内容を忘れ去った頃に読もう。2018/03/04
りょうこ
36
1よりも展開があったので読みやすかったが、どの家族にもイマイチ共感できず..。率直な感想としては、なんとか読み切った！の達成感のみ。ラストがまさかの展開（個人的に）だったので、記憶には残る作品でした！2014/01/17
RIN
22
上巻はこの物語は一体どこへ向かってる？主人公なし？と聊か退屈だったが、下巻に入って一気にのめり込んだ。物語が動き出すわけでもなく、何か事件が起こるわけでもない。小さな田舎町に住む人々の日常の中で、日々の小さな鬱屈や不安や迷いが圧倒的なリアリティとなって心を騒がせる作品。一般受けする気はしないけれど、読み終わって初めてまた最初からじっくり読みたいと感じる作品。家族単位の話なのに、家族における役割（夫、妻、母、父、子、兄等々）から離れて人は一人の個人なんだと改めて思わされる。2012/12/09
タカギ
18
そ、そんな…。希望のある物語ではない。たぶん、これが現実で、貧困の中にある者は、貧困の中で終わる。ウィードン家は抜け出せなかった。スクウィンダーだけは救われたのかな。ボードゥン家は元に戻るだけだし。クリスタルが生き生きしていたボートの場面が悲しい。2016/08/04
