出版社内容情報
今伝えなければ―2011年3月11日、中二の波菜子は祖母の秘密の交換日記を見つける。戦時中の敵国人抑留に光をあてた青春小説。I may forgive you.(許してあげてもいい)
波菜子のおばあちゃん・静子のもとに届けられた謎のクリスマスカード。差出人の名はハンナ・フォックスとあった。
痴ほうの初期症状が現れ、一週間後には施設への入所が決まっているおばあちゃんは、まったく身に覚えがないと言うが、波菜子はおばあちゃんとハンナが第二次世界大戦中に交わしていた秘密の交換日記を見つける。
ハンナはイギリス人とのクォーターで、おばあちゃんの親友だったのだ。
横浜の山手に住み、おばあちゃんと同じように女学校へ通い、日本を母国と思っていたハンナは、戦時中、敵国人の血が流れているという理由で、自由を奪われ、神奈川県厚木市での抑留生活を強いられていた。
手を伸ばせば届くようなところに、帰るべき家があるのに帰れない。うちに帰りたい。
交換日記には、つらい日々を送るハンナの思いがつづられていた。
それは、東日本大震災に伴い発生した福島第一原発の事故で、避難を強いられた人たちと、奇しくも同じものだった。
打ち切られた交換日記と、クリスマスカードの謎を、大震災後の混乱のなか、波菜子は何かに急き立てられるように追っていく。
その先に、ハナという愛称で決して呼んではくれないおばあちゃんとの、目には見えない壁を越えられるかぎがあるような気がして……。
敵国人抑留という史実を織りこみながら描かれたフィクション。
長江 優子[ナガエ ユウコ]
著・文・その他
内容説明
「山手のおばあちゃん」静子の家出、謎のクリスマスカード、そして東日本大震災の発生…さまざまな事件が起こるなか、波菜子は67年前の秘密の交換日記に手を伸ばす。戦時下の横浜、日本とイギリスの少女の友情をえがいた青春小説。
著者等紹介
長江優子[ナガエユウコ]
1971年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。テレビの構成作家として主に子ども番組の制作に携わる。2006年『タイドプール』で第47回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。同作品でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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