りっぱな兵士になりたかった男の話

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062177627
  • NDC分類 K973
  • Cコード C8097

出版社内容情報

かたくなに軍隊の規律を守る青年と、素朴な老人のユーモラスなやりとりを通して、イタリアアンデルセン賞受賞作家が描く戦争の愚かさ

いつでも優秀な兵士でありたいと、軍隊に忠誠を誓う、クリエグの町の青年カスパール。「りっぱな兵士であるための9か条」が書かれたメモを肌身離さず持ち歩いていた。
 カスパールに言いわたされた任務は、「風の山」の頂上にある風車小屋の監視。彼は質問ひとつすることなく、ただちに任地に向かった。
 それは小さなみすぼらしい小屋で、敵の気配などなく、毎日のようにやって来る者といえば、雌牛の「ももちゃん」と、飼い主であるしわだらけのおじいさん、そしてつまみ食いのためにやってくる1匹の小ネズミくらい。それでも、カスパールは生真面目に任務を遂行しようとする。
 クリエグの町に、いよいよ敵が攻めこんできた。おじいさんは、自分も戦いに参加すると言って山を降りていく。それでもカスパールは、風車小屋を忠実に見張りつづける。残されたももちゃんの世話にも、すっかり慣れてしまった。
 ふたたび山に戻ってきたおじいさんだが、あるとき、姿を見せなくなってしまった。
 カスパールは、初めて命令を破り、小屋の見張りから離れ、老人の家を訪ねることにした……。

 イタリアの新しい児童文学作品です。
 生真面目に任務を遂行しようとするカスパールと、ちょっかいを出してくる老人のユーモラスなやりとり。それにひかれて読み進むうち、同時に戦争のむなしさも伝わってくる傑作です。
 イラストはユーモア絵本の新星、シゲタサヤカ氏。これまでにあまりなかったタイプの、戦争をテーマにした児童文学です。

※小学5年生以上の漢字にルビ付

【著者紹介】
イタリアの児童文学作家。獣医をしながら、数多くの児童書を執筆する。2009年、イタリアアンデルセン賞の最優秀作家賞を受賞。

内容説明

カスパールは、小屋を見はりつづける。たとえ、敵がひとりもやってこなくても…。イタリアアンデルセン賞受賞作家がユーモアをまじえて描く、戦争のむなしさ。

著者等紹介

スガルドリ,グイード[スガルドリ,グイード][Sgardoli,Guido]
1965年、イタリアのベネト州に生まれる。2004年に児童文学作家としてデビュー。獣医として働きながら、多くの作品を発表している。2007年、『りっぱな兵士になりたかった男の話』で、イタリア・アブルッツォ州ペンネ市主催の文学賞であるペンネ賞(児童文学部門)を受賞。2009年には、イタリアアンデルセン賞の最優秀作家賞を受賞した。現在、イタリアでもっとも人気のある児童文学作家のひとり

杉本あり[スギモトアリ]
出版社勤務を経て、イタリアへ留学。滞在中に、日本の雑誌向けの記事を書くようになる。帰国後、フリーのライター、編集者、翻訳家として活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ベーグルグル (感想、本登録のみ)

35
図書館の特設場にて偶然見つけた一冊。上官に命令された事を忠実に守る主人公のガスパール。風車小屋での監視を続ける中、近所に住むお爺さんと牛とのやり取りが実にいい。ユーモアもあり、メッセージ性もあり、切なさもあり・・・。読後も色々考えされとても良かったです。2018/02/25

shiho♪

18
伊の児童文学作家。シゲタサヤカさんのイラストとそのタイトルでなんとなーくお話の道筋は見える。 『りっぱな兵士であるための9ヵ条』を頑なに守る男・カスパール。上官に山小屋の監視を命令され(カスパール1人だったのが話の肝)、戦争が始まる。 眼下は壊滅状態の街。次の命令がないまま、何の疑問も持たず、ずっと山小屋の監視を続けるカスパール…。 戦争の滑稽さを表したお話。お話の本筋は戦争のダークさは控えめだが、捕虜になった街の人々やカスパールはこの後安全に暮らせたのだろうか…と想像するとダークな話しか思い浮かばない。2021/07/21

MOCCO

10
児童書の棚で見つけた一冊だか、けっこうなメッセージ力ある内容だった。りっぱな兵士になるために上官の命令を守る、ということも、時と場合によっては不可解に見える。如何に考え、如何に生きるか、の大切さを再確認した。2017/06/28

のこ

9
兵士・カスパールは一人任務をこなしていた。山頂の風車小屋を見張り続けること。例え誰も来なくても。例え山の下の街が砲撃されても。例え気の合う友人ができて、死期が近くても。カスパールは一人任務をこなし続ける。■兵士であることに見切りをつけてからのカスパールが見違えるようだった。はじめて人としての体温を感じた。■挿画がユーモア寄りというか、だいぶデフォルメされた絵であることに違和感…。挿画無しでも良かったかな2013/09/27

あお

8
兵士の決まりの9カ条を忠実に守り続けるカスパールは、小屋の見張りの任務を任される。任務に愚かなまでに忠実な姿は滑稽である。最後にカスパールは、立派な兵士になることよりも大切なことを僕らに教えてくれる。ラストの花火の意味は単に敵軍を知らせるためのモノをカスパールが意図を理解してなかっただけようにも思えるが、謎。2014/06/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4886891
  • ご注意事項

最近チェックした商品