野生の科学

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野生の科学

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  • サイズ B6判/ページ数 477p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062177443
  • NDC分類 404
  • Cコード C0010

出版社内容情報

世界・他者をコントロールの対象とする「家畜化」した科学を乗り越え、豊かで、具体的で、世界・自然と交感する新しい科学を創造するガリレオ、デカルト以降、現代の原子核物理に至る近現代の「科学」=客観科学は、「自然」を人間の外部としてコントロールしようとします。レヴィ=ストロースはそれを「家畜化」と名付けました。その科学技術は、昨年この国で大惨事を引き起こしました。「科学」が覇権を握る近現代において、人類学や民俗学だけが、「科学」に細々と抗い、「野生型」の知識の豊かさが無尽蔵にあることを、明らかにしようとしてきました。その精神を引き継ぎ・発展させ、豊かで、具体的で、世界・自然と交感する新しい科学の創造を提示していきます。
本書は、「野生の科学」の精神をもって、多岐に亘るテーマを扱っていきます。
「科学」を乗り越えるインターフェイスの思想。「自然過程」で働く〈不思議な環〉を組み込んだ新しい人間科学。神話的思考による「ねじれ」、贈与的「新経済学」、「穴の幾何学」による「心的トポロジー」。
柳宗理「民藝」運動、深沢七郎「普遍文学」。アール・ブリュット、アール・イマキュレ、現代美術と心の構造の関係、そして曼荼羅が表現する「心そのもの」。
稲荷山(京都・伏見)、甲州(山梨)、熱海をアースダイビング。その上で、「土地」と脳の関係を「野生の地図学」として抽出します。

序文
第一部 野を開く環
第1章 数学と農業
第2章 「不思議な環」を組み込んだ人間科学
第3章 頭上のコン
第4章 経済学とトポロジー
第5章 トポサイコロジー
第二部 知のフォーヴ
第6章 民藝を初期化する
第7章 二つの深澤七郎論
      デリケートな分類
      奇跡の文学
第8章 闘うアニミズム
第9章 クラと螺旋
第10章 アール・ブリュットの戦争と平和
第11章 変容の岬
第12章 ユングの曼荼羅
第三部 空間の野生化
第13章 稲荷山アースダイバー
第14章 甲州アースダイバー
第15章 熱海のアースダイバー
第16章 塔をめぐる二つのエッセイ
      バベルの塔――コミュニケーションの神話
      バベルの塔からストゥーパへ
第17章 Y字の秘法
第18章 野生の地図学
付録
 自然史過程について
 真の豊かさのための「モジュール・ケネー」


中沢 新一[ナカザワ シンイチ]
著・文・その他

内容説明

とうとう探し出したぞ。何を?未来を開く鍵を。野生の科学が世界を変える。諸科学を統一する深層の原論を求めて。

目次

1 野を開く環(数学と農業;「不思議な環」を組み込んだ人間科学;頭上のコン;経済学とトポロジー;トポサイコロジー)
2 知のフォーヴ(民藝を初期化する;二つの深沢七郎論;闘うアニミズム;クラと螺旋―新しい贈与経済のために;アール・ブリュットの戦争と平和;変容の岬;ユングと曼荼羅)
3 空間の野生化(稲荷山アースダイバー;甲州アースダイバー;熱海のアースダイバー;塔をめぐる二つのエッセイ)
付録

著者等紹介

中沢新一[ナカザワシンイチ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。人類学者・思想家。著書に『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)など多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Yusukesanta

18
ホントはぜんぶ必読だろうけれども第七章「二つの深沢七郎論」だけ。文壇というものが昔あった時代に、深沢七郎という特異なニンゲンが『楢山節考』で颯爽とデビューしたのがどれほど清々しく、異常な事態であったかがこれを読んで、よーくわかりました。文学とは「近代」の産物だった。つまり、一生懸命、勉強した人、要するにインテリ、頭の良い人が、内面とか自我やなんかを複雑化(?)して周囲とは違う意識の構造や目線でモノゴトを見、そうして小説やなんかを書いた。七郎が大嫌いだった三島ユッキーはその代表格。「仮面の告白」とかね。2016/05/18

アナクマ

15
自分には歯ごたえありあり。もう少し入門編を誰か教えてください。m(__)m2018/04/30

坂口衣美(エミ)

4
内容的に重複が多いのでやや冗長な印象。「闘うアニミズム」では、阪神淡路と東日本の震災で起こった現象の違いが興味深かった。そういわれてみると、阪神淡路の震災は「自然の猛威」というより都市の恐怖という印象。「クラと螺旋」は「魔方陣グルグル」という漫画を思い出した。題名どおりグルグル~っと魔方陣を描く漫画だ。あの「グルグル」にあった「溢れ出すエネルギーを制御する」というシーンなどを連想すると楽しい。「アースダイバー」はイメージしにくかった。「土地の歴史」というものに馴染みがないからなのか?2014/03/22

ルンブマ

2
自分の中で理解することができなかったレヴィの掲げる「神話の公式(fx(a):fy(b)≃fx(b):fa⁻¹(y))」、そしてその公式と関連する「砂時計型形象論」についてよりクリアに理解することができた。これらに関しては先行の出口顯(2012)『【現代思想の現在】レヴィ=ストロース まなざしの構造主義』よりも詳しく書かれており、また、レヴィ自身が明確には答えていない、世界各地でこの装飾が見られる理由についても中沢は「砂時計型形象は出産を象徴している」と考察しており、レヴィの議論をさらに先へと進めている。2021/01/04

takao

1
寄せ集め。中沢原子力発電への違和感(原子核反応とエネルギーを得るシステムのギャップ)は、核融合への違和感に同じだな。2018/09/22

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