きなりの雲

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  • サイズ B6判/ページ数 210p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062172950
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

古びたアパートの住人達。編み物でつながった仲間達……。失恋に傷ついたさみこの新たな日々の物語。芥川賞候補作家初の長編小説!

古びたアパートの住人達。編み物でつながった仲間達……。失恋に傷ついたさみこの新たな日々の物語。芥川賞候補作家初の長編小説!

内容説明

古びたアパートの住人たち。編みもの教室に通う仲間たち。大切にしていた恋を失くし、すさんだ気持ちから、ようやく顔を上げたとき、もっと、大切なものが見つかった。傷ついた心だけが見えるほんとうの景色。愛おしい人たちとのかけがえのない日々を描き、「群像」発表時から話題を集める著者初の長篇小説。第146回芥川賞候補作。

著者等紹介

石田千[イシダセン]
1968年、福島県生まれ。東京都育ち。國學院大學文学部卒。2001年、「大踏切書店のこと」で第1回古本小説大賞を受賞。2011年、「あめりかむら」が第145回芥川賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

❁かな❁

150
とても静かで優しく柔らかいお話♡芥川賞候補作。編み物のように丁寧に丁寧に紡がれた文章で温かい*彼氏から他に好きな人ができたと告げられた40代のさみ子。失恋後、少しずつ普通の生活を取り戻す中、まわりの人達の温かさに触れる。編み物教室やご近所の人達との交流に私も癒され優しい気持ちになる*いろんな気持ちに共感し、登場人物の思いやりに胸が熱くなる。好きな人の勝手なところも全てひっくるめた上で好きな気持ちもよくわかる。ちさちゃんの章で1番泣いてしまいました。初・石田千さんでしたが好み♡心に残った言葉はコメント欄へ。2017/04/25

nico🐬波待ち中

116
一目一目丁寧に編み込んでいくように、日々の暮らしぶりもじっくりと丁寧なさみ子。この穏やかな雰囲気がたまらなく好きで、もっと読んでいたかった。思うように行かずに落ち込んだり、周りの人に自分の気持ちを上手く伝えられない不器用なさみ子は、糸で言うならば色を染める前の「きなり」だろう。例えば編みもの教室で、全員同じ糸で同じものを編んでいても、一つとして同じものに仕上がらないように、人の生き方も人それぞれ。周りの優しい人達の温かい眼差しも有りがたい。私もさみ子のように、久しぶりに編みものがしたくなった。2018/02/04

chimako

101
八ヶ岳の麓のブックカフェで見つけて「これはきっと良い」……そんな勘は当たった。とても好きな作品だった。編み物を職業にしている女性が主人公。どんどん編んでどんどん売るのではなく、編み物教室の講師をしながら上質で着やすい一生ものを編む。古いけれど居心地の良いアパートでアボカドを育てたりする。ゴーヤもたくさん採れる。周りの人たちはそれぞれに事情はあっても、それぞれに大人だから要らない詮索も余計なお節介も無い。こんな先生にゆったりと編み物の基礎をしっかり教わりたい。落ち着いた恋心のエッセンスもあって楽しめた。2018/02/22

pino

95
石田さんは心根の優しい方なんだろうな。淡々と過ぎていく日常の中の幸せや悲しみが美しい言葉で綴られていて、ほっこりしました。表紙の毛糸だまもいい感じです。忙しさにかまけていた自分を振り返り、丁寧な暮らしをしようと思いました。恋愛小説は苦手だけど、こんな静かな物語もたまには、いいな。それにしても、登場人物はいい人ばかり。警察ざたがあっても、ゆったりしているし。さみ子さんには幸せになって欲しい。手先が器用で女らしくて、私とは正反対。私は編み物をしていると船酔い状態になるし不器用なので得意な方がうらやましいです。2012/06/26

ぶんこ

83
小泉今日子書評集から初読み作家さんです。さみ子の住む、入居者が半分くらいというエレベーターのない古いマンション。屋上で花やゴーヤを育て、洗濯物を干し、子供の遊具もあって、律儀な通いお掃除おじさんの田中さんが居て、シャンとした生活ぶりの70代一人暮らしの松本さんが素晴らしい。個人的にはこの松本さんと田中さんに魅かれて読み進めました。きちんとした生活を地道に作り上げている人々の美しさを感じました。さみ子さんも、このお二人と相通ずるお人柄で好感が持てました。じろうさんと玲子さんたちは同じ事を繰り返しそうですね。2016/07/28

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