福島原発―現場監督の遺言

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福島原発―現場監督の遺言

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062172141
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0036

出版社内容情報

福島第一原発で現場監督を務め、隠された大量被曝事故を告発した平井憲夫氏の証言を検証、原発取材40年の記者が再稼働へ重大警告一級配管技能士として内外の石油化学プラント工事を手がけ、福島第一や第二、浜岡、敦賀、島根など各地の原発建設や点検に従事した平井憲夫氏。自ら現場監督として働いた福島第一原発での従業員の大量被曝事件を、1986年、チェルノブイリ事故直前に著者の取材を受けて『週刊現代』誌上で告発し、注目される。その後、各地の反原発運動に協力し、ずさん工事、インチキ点検など現場の技術者ならではの内情を明かして、その危険性を訴え続けた。平井氏によれば、日本の原発は設計図は立派でも実際の工事や点検に従事する配管工や溶接工は二、三流で化学プラントに比べれば、技術的に10年から20年は遅れているという。配管の常識を無視したマニュアルを押しつけたり、化学プラントではとうの昔にやめた工法を原発では最新の工法と思ってとり入れたりしていた。原発は原子炉とタービンだけでなく、それらを動かすためにおびただしい数のパイプが使われ、配管でできているといってもいい発電システムである。配管が破壊され、冷却水が用を為さなければ大事故につながる。それは今回の原発事故で図らずも証明された。
1971年より『週刊現代』記者として原発の危険性や社会問題を取材してきた著者は、平井氏と高木仁三郎・原子力資料センター代表を対面させて大量被曝事件の真相に迫った。高木氏と平井氏のすすめで被曝した当の従業員を放射線被曝の専門医として知られる阪南中央病院の村田三郎医師(現・副院長)に診断してもらうと、はたして慢性気管支炎や胸部の出血斑など原発での被曝者に特有の症状があったのである。
原発での隠された事故は平井氏の告発だけでなく、全国から著者のもとに集まった。四国電力の伊方原発3号機の建設中に起きたケーブル火災を、エバラの現場監督として据え付け工事に携わった本田省吾氏は重大事故として四国支店長に報告したが、四国電力建設所長とエバラ支店長の話し合いの結果、「火災はなかったことにしてくれ」といわれたのである。技術者としての良心に思い悩んだ本田氏は、退職後、原子力保安院へ報告し、事故の調査を依頼したが、結果は炎を上げて燃え上がった火災が「くすぶった程度」と四国電力側の言い分を追認したものだった。
平井氏も高木氏も故人となって十数年たつ。その警告が戦慄すべき現実となっても、まだ原発にしがみつくのはなぜか、その背景を追及する。

序 章 フクシマとチェルノブイリ
     放浪する15万人の原発難民
     「冷温停止」という欺瞞
     地震活動期の日本に原発五四基
     チェルノブイリの悪夢
故・平井憲夫氏が示唆するフクシマの真実 
第一章 インナーサークルからの告発者
     隠された大量被曝事故
     原子力資料情報室・高木仁三郎氏の見立て
     吐き気、頭痛に歯ぐきからの出血が
     診断結果と東電の反応
     被曝線量がケタ外れに多い福島第一
第二章 「千年に一度の大津波」の欺瞞性
     巨大地震に不安な原発の構造
     海砂使用の脆弱コンクリートで原発建屋を
     東電社員のミスを深夜に極秘処理
     未熟な製品を使用した生体遮蔽壁
第三章 原子力マフィアという官民一体
     誰も触れない“核爆発”
     作業員2名が死亡した臨界事故
     四国電力伊方原発の隠された火災事故
     隠蔽工作に手を貸す原子力安全・保安院
第四章 原発の語り部・平井憲夫氏の活動
     福島第二原発3号機運転差し止め訴訟
     間一髪、手動で緊急炉心冷却装置を動かす
     隠される被曝問題――子供を産んでも大丈夫ですか
     白血病で亡くなった福島第一作業員
     刀折れ矢尽きるまで原発と戦う
第五章 迫られる原発廃絶の決断
     原発があるから甲状腺がおかしい
     川内原発の温排水と大型魚類の死体
     四四年前に予告されていた“放射能汚染米”
    「バカこくでねえ。一基でも増えたら事故さ増える」
    死者七二〇人、要観察一三〇万人、損害三兆円以上
    事故後五年から増加する甲状腺ガン
巻末資料
    「週刊現代」一九八六年五月二四日号 元現場監督が衝撃の証言 東電福島原    発で“隠された”従業員の大量被曝があった!
    「週刊現代」一九八八年一二月一七日号  元現場監督が衝撃暴露!「日本の原    発はこんなに危ない」


恩田 勝亘[オンダ カツノブ]
著・文・その他

内容説明

黒いキノコ雲で放射性物質をまき散らした3号機は、即発臨界による核爆発説まで出た。欺瞞に満ちた収束宣言に突きつけられた元現場監督の告発。作業員の大量被曝からずさん工事、インチキ点検まで、一級配管技能士として福島第一、第二、浜岡、敦賀など各地の原発工事・点検に従事し、高木仁三郎氏も賞賛した現場の人・平井憲夫氏が全暴露。原発事故が絶えないのは素人ばかりで職人がいない上に役人が作ったマニュアル通りに工事するからと重大告発。日本の原発はこんなに危険だ。

目次

序章 フクシマとチェルノブイリ
第1章 インナーサークルからの告発者
第2章 「千年に一度の大津波」の欺瞞性
第3章 原子力マフィアという官民一体
第4章 原発の語り部・平井憲夫の活動
第5章 迫られる原発廃絶の決断
巻末資料篇

著者等紹介

恩田勝亘[オンダカツノブ]
1943年島根県生まれ。法政大学卒。1971年より「週刊現代」記者としてチェルノブイリ事故など原発関連の記事を取材、執筆。評論家・内橋克人氏による同誌連載企画『原発が来た町』(1982年)のスタッフライターとして各地の原発立地地域や予定地を取材した。1986年と1988年に掲載された東京電力福島第一原発の元現場監督・平井憲夫氏の告発記事が、東日本大震災での原発事故で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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SHINO

2
定期点検するにも被爆覚悟だから大変だなと。それをやらされるのはいつも末端の人たち。地方の人にしたら原発は危険だけど雇用が増えるからと受け入れるのもわかるしな。大企業ばかりが儲かって危険な作業は日雇いが自身の被爆量すらわからないまま解放ってのもすごいな。地方の人たちはせまい地域で暮らすからあからさまに原発批判とかもできないし。原発問題は難しすぎる…電気は必要なのは明確だしね2012/03/21

eyb322

0
東日本大震災から2年が経過しましたが、原発事故はまだ続いていて収束するのかさえ定かではありません。震災当時地震で原発のプラントが壊れたとの報道(解説)?があったと記憶していますが、この本を読むと納得できます。原発が壊れた原因が究明されるまでは再稼働はあり得ないと思わせる一冊です。2013/04/16

omatsu

0
 原発プラントで実際に現場監督として働いていた故平井氏の告発がもとになって原発の実態をしるした本です。フクシマの原発が被災したときの内容かと思いきや、そうではありません。そうなのです!フクシマ第一は、あの地震に遭わなくても重大事故を起こす可能性が十分にあったという内容です。それでも再稼働を目指すのか?必ずフクシマの様なシビアアクシデントが再度起こることになると確信しました。2013/02/17

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