出版社内容情報
帰るべき場所のため戦う人々に捧げる物語。囚われた妻を救うため。男はその一心で理不尽を受け入れ、旅に出た。幾度の苦境を越え、使命を果たし故郷へ帰ると、妻は――。江戸川乱歩賞作家書き下ろし!
内容説明
14世紀初頭、端麗王フィリップ四世が統治するフランス。パリに暮らす鍛冶屋ジェラールは、ある日突然、妻と共に投獄される。無実の罪を訴える彼に王の腹心が出した解放の条件は、神殿騎士団逮捕直前に失踪した、一人の神殿騎士を探し出して捕らえるというものだった。妻を囚われたジェラールに選択肢は無く、わずかな手がかりを頼りに、謎の騎士を追う旅に出る―。
著者等紹介
神山裕右[カミヤマユウスケ]
1980年生まれ。愛知県出身。2004年『カタコンベ』で第50回江戸川乱歩賞を史上最年少で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっちゃん
21
中世ヨーロッパの話!妻を人質に取られ人探しを頼まれるが…神殿騎士団とか、宗教と政治的戦略、人探しより、イメージとしては地味過ぎるインディジョーンズ(笑)主人公より、敵なはずのアンドレの方がミステリアスで主役級、とにかく暗く重い内容でした( ̄▽ ̄)2020/01/02
まつじん
13
14世紀のフランスでのお話です。ひたすらに帰るべき場所のために戦った男の物語なんですが、後半になるとドンドン登場人物が死んで行きます。そして誰もいなくなった、みんな死んじゃった。なんとも救いのない物語に思えてしまいました。2011/10/09
はち
12
@75中世欧州を舞台に宗教と主権争いに巻き込まれながら妻のために戦う主人公を描く。力のこもった作品。しかし救いがない。そして一神教の感覚は理解しがたい。争いが今でも絶えない根元は、やはり宗教にあると感じた。2017/02/27
cassyu
11
ああ、きつかった^^; 「宗教って人を不幸にしかしない」って解釈でよろしいでしょうか?(違2015/07/11
たこやき
8
信仰と宗教団体。これは似て非なるものなのだな、というのを感じる。宗教というものが権力を持った存在となると、やがて、その権力を巡っての闘争へと変じてしまう。現在でも、通用するテーマだと思うが、宗教が権力と直接に結びついていた十字軍時代末期ではなおさら……。救いのない話だが、この結末にジェラールは救われたのだろうか……?2011/12/09