出版社内容情報
第51回講談社児童文学新人賞受賞作 「四流高校生」と自嘲する16歳の少年ケージュンは、ある日先輩のシンジにレジ打ちをごまかす空打ちを覚えさせられ、バイト先で何度もシンジの会計をごまかす。
内容説明
「四流高校生」と自嘲する16歳の少年ケージュンは、自分にはしょせん明るい未来も夢もない、と自分の運命を淡々と受け入れているのだが…。おれの目的地はどこだろう。そこには誰がいるんだろう。第51回講談社児童文学新人賞受賞作品。
著者等紹介
升井純子[マスイジュンコ]
北海道教育大学卒業後、札幌市立大谷小学校に赴任、結婚を機に退職し、2005年より札幌福祉保育専門学校の非常勤講師を務める。『爪の中の魚』が第一回ぶんけい創作児童文学賞の佳作を受賞。『空打ちブルース』で第51回講談社児童文学新人賞受賞。日本児童文学者協会、まほうのえんぴつ、季節風会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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杏子
11
最初は、バカばっかりやってるケージュンにあきれ、笑っていたけど。家庭の状況とか見るうちにだんだん哀しくなってくる。空打ち、って初めてこの作品を読むことで、知った言葉だったが、ヤクザみたいな?シンジに脅迫されて無理やりやらされてるケージュンに、このままじゃダメだよ、何とかしなくっちゃと思ったが。バイト先の古本屋にばれて痛い目を見るかと思いきや。あんなことになるとは…。いくらなんでもちょっとやり過ぎた。もっと何か大きなことをやりそうだったが…、あまりにじめじめとしたストーリーに心が痛む。明日は彼らにくるのか?2013/04/06
joyjoy
8
たしかにブルースだった。なかよし公園でブランコを漕ぎながらの心の叫びも、GO,GO,GO・・・のつく古本屋でのご挨拶も、ブルースだった。母ちゃんのケチャップごはんも、おやじの汚れの落ちなくなった手も、声にはならない、彼らのブルースだった。ボタンをくれる購買のおばちゃんにもブルースがあるし、悪い先輩シンジにさえブルースがある。ケージュンは彼らのそんなブルースにちょっと耳をすましてみることもできる子だった。2022/10/10
のみちゃん
7
空打ちって何? と思いながら借りてきたが、知らずに一生を終えたかったキーワードだと思った。また、他の人にも知ってほしくないキーワードだなと思う。私の身近にレジがあったら、できるかな? って試しているだろう。そして、ばれたら運が悪かったと思うのかもしれない。明日があるんだよってテーマは良いなと思ったが、空打ちは必ずしも必要ではなかったと思う。空打ち以外で描いてほしかったと、心から思う。根底にあるテーマが良いだけに、残念だ。2013/07/06
さくらもち
5
第51回講談社児童文学新人賞受賞作。4流高校生と自嘲する16る歳のケージュン。母親は家を出ていき、家には食べるものもロクに無く、呑んだくれの父親とは話したくもない。何処に進めばいいのか迷うこともできず、思い通りにならないことに苛立つ。イタくて苦くてほんの少しだけ明るいミライが見えそうな、青春?小説。イタい感じが多くて、あんまりスカッとはしなかった。2012/12/20
totokai
4
これまた感想が難しい・・。きっと自分にも明日が、みょうにちが、ある。2011/08/02