吃音センセイ―桜舞う校庭で

佐藤 文昭【著】

講談社（2011/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 287p／高さ 19cm
• 商品コード 9784062169431
• NDC分類 913.6
• Cコード C0093

出版社内容情報

「病気で入院しているお母さんが、死んでしまうかもしれない……」そのショ ックで吃音になってしまった5歳の少女、京子。言葉がうまく出てこないことか ら、いじめられてくじけそうになったのを救ってくれたのは、同級生との淡い 恋であり、大学で出会った恩師でした。やがてハンデを克服して小学校の国語 の教師となった京子は、思いがけない場所で初恋の人と再会し……。
実話をもとに、映画『英国王のスピーチ』でも話題の「吃音」をテーマに、 ハンデと真正面から向き合う少女の心の葛藤を優しい物語にしました。吃音で お悩みの方はもちろん、子育て中のお母さん、少年少女たちに広く読んでいた だきたい感動的なお話です。

1、小さな心のなかで
序章――花の精／桜の子／異変／入学／タイジ／友だち／問題児
2、恋の芽生え
転校生／母親／小島君／不良／図書室／漬物ディナー／思い出
3、輝きのために
手紙／大学／教師／青年画家／ひいき／キス
4、桜の咲きほころぶころ
矯正所／絶望／紙吹雪／卒業式／再会／終章――桜雨


佐藤 文昭［サトウ フミアキ］
著・文・その他

内容説明

ひとりの少女が、ハンデを克服して成長していく実話をもとにした心温まるストーリー。

著者等紹介

佐藤文昭［サトウフミアキ］
１９８０年、北海道函館市生まれ。通販事業経営・コピーライター。大手建設会社を二五歳で退社後、育児ママ向けに託児所付きのカフェを出店するが、計画の甘さからあえなく失敗。二〇〇〇万円の借金が残る。インターネットの通販事業と出会い、大きな転機。コピーの力に魅せられ、自社商品の通販ページのコピーは、ほとんどすべて自身で書いて商品を販売している。また、その執筆ノウハウをまとめた教材も発表し、人気を博す（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[はる]

吃音がありながら普通に小学校の先生となった女性の物語。問題児だが根は素直な少年との交流を描きながら、自らの子供の頃から青春時代の様々な苦労を振り返ります。吃音であることから受けたいじめの描写や暗い葛藤は胸が痛みます。荒削りだし後半は出来過ぎだけれどなかなか良かった。ただ、主人公のモデルとなった女性は悪いうわさもあることを知って、なんだか微妙な気分です…。

2017/07/18

[ムー]

図書館で借りました。苦しい状況にいる時、良き理解者がいることで、人は本当に救われる。個人的には、京子の小学校や中学校時代の教員がもっと吃音について、正しい知識を持ち、理解を示した対応をすることができていたら、京子はここまで苦しまなくて済んだかもしれないとを思うと残念な気がした。でも、だからこそ、京子は辛い気持ちを抱えている児童の心の叫びを聞いたり寄り添ったりできる教員になれたのだろう。辛い経験を活かせることのできる京子は、とても強くて素敵だと思う。

2016/08/20

[ジュースの素]

幼い頃に母が長期の入院をして寂しさから心にわだかまりが出来、吃音になってしまった京子。誰からも笑われ、仲間外れにされたが、転校して来た小島くんは意に介さず、親切にしてくれた。 やがて京子は教員になり、問題児を苦労して見守る。 これは実話で、人は人として全うな人生を送るには何が必要で大切なのかを考えさせられる。

2018/01/03

[びすけっと]

2011年4月刊。遠征先図書館出会い本。吃音の女性の小学生の頃から学生までの思い出と、小学校教員となった今が交互に編まれています。学生となり、吃音の声を美しいと認めてくれた大学講師との出会いが彼女の人生を変えます。自分の感情を思いっきり講師にぶつけた学生時代は圧巻。そして教員として、不遇な転入生と対峙します。吃音の解消への道筋と転入生との対応の道筋が重ねますが、読んでいて今一歩の感。この物足りなさを表現できたら、いいのになあ。

2014/08/26

[ひめありす＠灯れ松明の火]

桜の花びらのように、ふわふわと京子の幼いころと、現実の頑張りとが、ふわりふわりと交差していく。でも、初恋の君との交流を、もっとどっしりと根を張った物語として、読んでみたかったかも。再会の後が気になります。

2011/08/22