出版社内容情報
11年上半期はこの本を読まずに語れない!「血」の束縛なんて超えろ。世代を超え土地を超え、私たちはみんな繋がっている。家族の謎に娘たちはたどり着けるのか?迫力あふれる、渾身の書き下ろし長編!
内容説明
中学生の一子は、北海道の孤島でお祓いを生業としている熊金家のひとり娘。先祖の女性がこの島に住み着いたときから、初潮を迎えると島民のだれかと交わり、娘をひとりだけ産んで跡を継がせる貧しい家に、祖母とふたり暮らしをしていた。そして、一子のふたり娘の明生と愛子。大人になった姉妹は、お互いの居場所もわからぬまま、ひとりきりで、それぞれの日々を過ごしていたが…。一子が死ぬ前に遺した手紙によって、すべての謎があきらかになる。
著者等紹介
まさきとしか[マサキトシカ]
1965年、東京都生まれ。札幌市育ち。1992年、「風が吹く部屋」で92年度上半期文學界同人雑誌優秀作。1994年、「パーティしようよ」で第28回北海道新聞文学賞佳作。2007年、「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まこみん
87
北の島で祖母に育てられた一子は、神業を継ぎ、女の子をひとり産む事迄義務付けられていた。その宿命を絶つ為に中学3年に家出する。それから二十年程経ち、一子には娘が二人いた。姉の方は自分が男でない事に罪悪感さえ持ち、母を疎む様になり、妹は強い霊感で父親に張り付く物に怯えたり、母の背後にある老婆の姿が見える。その娘たちの人生にも母の宿命が影響を及ぼし、一子の突然の行方不明から家族はバラバラになる。終章の一子の手紙で彼女の行動の謎が解けるのだけど、どうしてとの思いは残った。せめて姉妹はこの先仲良く生きて欲しい。2018/02/11
モルク
79
北の島で、神とされる祖母のもとに育った一子。この家に生まれた娘は、あとを継ぎ女の子をひとりだけ産まなくてはならない。そんな宿命に抗い一子は中三の時島から出る。その後の一子とその娘二人を描く。一子の娘たちは、そんな家系とは知らされていないが、やはりなにがしかの呪縛を感じていた。その宿命から逃れることはできないのか、それぞれに自分の居場所は見つかるのか。最後に母が娘にあてた手紙で真相がわかるが、これで娘は何を思うのか、納得できるのかなぁ、というのが正直なところである。2019/05/28
千穂
41
北の島に住む熊金家の娘一子。おばあさんと2人で暮らし、女の子を1人産めと。代々神に仕える身のようだが、何やら怪しい。中3で島から逃避行。島で暮らすのが正しいのか、逃げるのが正しいのか?娘2人を産んだ後離婚し別の男との間に男の子が生まれた。同居相手は島の同級生だっけ?途中流し読みで勘違いしているかな?2018/03/06
らむり
32
家族(熊金家)の世代を超えたミステリー。やや重いお話でした。2014/01/07
ミツツ
30
古くからの因習を背負った熊金家のひとり娘。暗い。重い。2020/09/17