ドストエフスキー

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  • サイズ B6判/ページ数 549p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062166508
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C0095

出版社内容情報


ドストエフスキーの、いわゆる地下室的主人公たちは、ことさらに他者に対して天の邪鬼に反対し不同意を突きつけているように見える。しかし、彼らは、ほんとうは他者の言葉に強く引かれそれに自分の声を合わせたいのだ。ただ、それに声を合わせようとしてどうしても合わせることができないとき、協和と同意の合致点からのその微小なズレには激しい斥力を持つ異和が生じる。それは反論や不同意が産み出す反撥と似て全く非なるものだ。のみならず、そのような反撥よりもはるかに強烈な不協和、憤激を呼び起こすのである。本書は、そのような異和を、反論と不同意から生じる反撥と区別して「ラズノグラーシエ」と呼び、この強い斥力こそがドストエフスキーの世界の主な動力になっていると考えている。――<「まえがき」より>

内容説明

文学史上最大の衝撃、ドストエフスキーとは何なのか?気鋭の批評家が切りひらくドストエフスキー論の新たな地平。

目次

序章 ラズノグラーシエ―二葉亭四迷とバフチン
第1章 黄金時代の太陽―『悪霊』
第2章 ソーニャの眼―『罪と罰』
第3章 マリヤの遺体とおとなしい女―『作家の日記』
第4章 写真の中の死、復活、その臭い―『白痴』
第5章 逆遠近法的切り返し―『未成年』
第6章 カラマーゾフのこどもたち―『カラマーゾフの兄弟』

著者等紹介

山城むつみ[ヤマシロムツミ]
1960年、大阪府生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒業。1992年、「小林批評のクリティカル・ポイント」で第35回群像新人文学賞評論部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

20
先日『カラマーゾフの兄弟』を読み返したので、記憶が薄れぬうちに、第六章「カラマーゾフのこどもたち」を再読。イワンを中心に据え、彼から訣たれた左右にそれぞれアリョーシャとスメルジャコフを置く。さらには、物語において何度となく反復される上層から下層への嗜虐の構造について、たとえばパイナップルのコンポートといったドストのスイーツ趣味をカギとして読み解いていく、まさしく批評の「賭け」ともいうべき一章。〈『カラマーゾフの兄弟』に芯として残るのは《スメルジャコフを愛せるか》という問いだ〉。問題は、父殺しではなかった。2020/04/15

里愛乍

18
図書館本。単なる個人的考察による論文ではなく、のっけからバフチンや小林秀夫などを引き出し、代表的作品をあらゆる角度から舐めつくすかのようにドストエフスキーの世界感が語られています。「対話における閾とは」のくだりが面白かった。言葉ってほんと深い。丁寧な文章で、未読作品の章も楽しむことができますが、やはり実際その作品を読んだ後に再読したい。というか常日頃手元に置いて、読みたいときに読めるようにしておきたい。ここは本書の文庫本化を強く願うばかりです。2014/07/14

三柴ゆよし

16
バフチンから抽出した「ラズノグラーシエ」(他者の言葉への同意と反撥に引き裂かれた強い異和)の概念を手がかりにドストエフスキーの小説に分け入っていく。先に名を挙げたバフチンはもちろん、小林秀雄や森有正のドスト論にも比肩するエネルギーを発散する本書は、物語、文体、思想……といったいわば小説の外殻からかの怪物的作家を論じるのではなく、まさしく著者自身の全存在を「賭けて」それと対峙した結果、ドスト論を超えた、しかし紛うかたなきドスト論としか言いようのない異形の書物が爆誕してしまった感を抱いた。繰り返し参照したい。2020/02/02

人工知能

9
今まで読んだドストエフスキー論の中で最高。同じ言葉を自分で言うのと他人から言われるのでは実はまったく意味が異なる。そういう声の重なり。だけどその声に気持ちを重ねたいのに重なり切らない時に最も激しい反発が生まれる。それを著者は異和と言う。カラマーゾフの兄弟の「あなたじゃない」という声の重なり。それをギリギリのところで受け止めきれないが故の激しい反発。その他にもソーニャとリザヴェータの重なる目と斜光など、とにかく読みが深くて貪るように読んだ。こういう風に読めるようになりたい。また読み返したい。2020/01/23

三柴ゆよし

8
「第四章 写真の中の死、復活、その臭いーー『白痴』」を再読。2021/03/12

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