出版社内容情報
ドストエフスキーの、いわゆる地下室的主人公たちは、ことさらに他者に対して天の邪鬼に反対し不同意を突きつけているように見える。しかし、彼らは、ほんとうは他者の言葉に強く引かれそれに自分の声を合わせたいのだ。ただ、それに声を合わせようとしてどうしても合わせることができないとき、協和と同意の合致点からのその微小なズレには激しい斥力を持つ異和が生じる。それは反論や不同意が産み出す反撥と似て全く非なるものだ。のみならず、そのような反撥よりもはるかに強烈な不協和、憤激を呼び起こすのである。本書は、そのような異和を、反論と不同意から生じる反撥と区別して「ラズノグラーシエ」と呼び、この強い斥力こそがドストエフスキーの世界の主な動力になっていると考えている。――<「まえがき」より>
内容説明
文学史上最大の衝撃、ドストエフスキーとは何なのか?気鋭の批評家が切りひらくドストエフスキー論の新たな地平。
目次
序章 ラズノグラーシエ―二葉亭四迷とバフチン
第1章 黄金時代の太陽―『悪霊』
第2章 ソーニャの眼―『罪と罰』
第3章 マリヤの遺体とおとなしい女―『作家の日記』
第4章 写真の中の死、復活、その臭い―『白痴』
第5章 逆遠近法的切り返し―『未成年』
第6章 カラマーゾフのこどもたち―『カラマーゾフの兄弟』
著者等紹介
山城むつみ[ヤマシロムツミ]
1960年、大阪府生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒業。1992年、「小林批評のクリティカル・ポイント」で第35回群像新人文学賞評論部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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