内容説明
一代で財閥にのし上がった男・灘尾儀一郎に嵌められて、瀬戸俊介の父母と姉は自殺した。復讐を誓って大阪に戻ってきた俊介の前に現れたのが、詐欺団のリーダーという裏の顔を持つ春日だった。俊介が父の遺品を換金して得た1万円を資金に、いよいよ儀一郎&灘尾財閥殲滅の幕が切って落とされた。そして―。『翳りゆく夏』で江戸川乱歩賞受賞の実力派が描く、戦後の混乱期を背景にした社会派長編。
著者等紹介
赤井三尋[アカイミヒロ]
1955年、大阪生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ニッポン放送に入社、現在はフジテレビ勤務。2003年、『翳りゆく夏』で、第49回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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財布にジャック
68
今日は頭痛がして体調が悪かったのでミステリーは無理だろうと思い、薬飲みながらも気分転換になればとこの本を読みました。復讐物だから暗いのかと心配でしたが、途中からはテンポもよくちょっと笑っちゃうような展開で、気分良く読めました。実は何を隠そう真保さんの「奪取」や石田さんの「波のうえの魔術師」や、そしてこの作品のような、してやったりなお話は大好物なんです。戦前の時代背景も生きていて、キャラクターも個性派揃いで、久々に赤井さんを読みましたが、これは当たりです。2011/09/06
K
56
家族を自殺に追いやった男を破滅に追いやるために壮大な詐欺が計画される。最初は物語がどういう風に進んでいくのかわからず読みにくかったけど途中からは一気読み。詐欺師の皆さんが良い味出してて伊坂さんの「陽気なギャング」のような痛快さでした。2016/09/28
しーちゃん
30
極悪人から金をむしり取る。これはもう詐欺とは言えないのではないか。れっきとした世のため人のための行為だ(笑)姉を自殺に追い込み家業を破綻させたある財閥に単独で乗り込もうとする俊介。大阪で、ある詐欺集団に出会い、壮大な復讐劇が始まる。昭和初期という舞台設定に若干戸惑いはしたが、個性的な詐欺集団にたちまち魅了され、ハラハラドキドキあっという間に引き込まれた。当時のお金の価値がよくわからないが、一人1億円ぐらいの報酬になるようだ。話をもちかけた俊介も実は…のくだり、いや、楽しませてもらった(笑)2015/04/11
たこやき
13
戦前の大阪を舞台に、目指すは財閥の破産。リーダーの春日をはじめ、ミミック、インテリ、ジゴロと言ったわかりやすいキャラクターの壮大な仕掛けが作られていく過程が素直に楽しい。壮大すぎるから「常識で考えると騙される」というのがまさしく当てはまる。勿論、それだけ壮大で緻密な作戦が、完全に上手く行かず、終盤はドタバタ劇のような展開になっていくのも一つの味。標的・灘尾があまりにも「わかりやすい」悪役とか、描き方が極端なきらいはあるが、非常に娯楽性が高い一作だと思う。2010/11/25
むつぞー
12
詐欺師のリーダー・春日、声帯模写も名人・ミミック。情報収集家・インテリにジゴロと紅一点の智恵といった個性豊かな詐欺師グループに財閥を破滅させるような詐欺を!というスケールの大きさで読み始めたら止まらない面白い作品でした。 やはりこう言うのはスケールが大きく、悪いヤツを騙さなくっちゃね。オレオレ詐欺みたいのはイカンのよ。 そしてコンゲームものの楽しさはその仕掛けと騙しっぷりもあるけれど、緻密な計画に発生するトラブルにいかに対応し、切り抜けていくところにもあります。 コンゲームものを堪能させていただきました。2010/11/27
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