出版社内容情報
母と姉を殺した少年は、どこに行ったのか。
母と姉を殺したのは少年だった。遺族の生活は一変した。22年後、父が記したノートを見つける。父は犯人に接触していたのか。現代の「罪と罰」を問う、新境地。
内容説明
母と姉が白昼、惨殺された。逃げるのが面倒だからと逮捕されたのは、少年だった。センセーショナルな事件に、遺された「私」、父、弟の生活は一変した。逃げるように家を出て、逃げるように暮らした。そして私には殺人衝動が生まれた。20年後、認知症で入院した父が記した3冊のノートを見つける。それは、父が事件を自分なりに調べ、犯人に迫ろうとした軌跡だった。―父は殺人犯に接触していたのか。現代の「罪と罰」の最先端に挑んだ、新境地作品。
著者等紹介
藤崎慎吾[フジサキシンゴ]
1962年、東京都生まれ。埼玉県在住。米メリーランド大学海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。科学雑誌の編集者や記者、映像ソフトのプロデューサーなどをするかたわら小説を書き、1999年に『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)でデビュー。現在はフリーランスの立場で小説のほか科学関係の記事やノンフィクションなどを執筆している。日本SF作家クラブおよび宇宙作家クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつじん
10
短めの作品ですが読後感はどっしりとしてます。罪と罰はなんなのか、それは祈ることしかできないのか。2010/07/31
春風
6
藤崎慎吾が少年犯罪もの?と驚いたが、これはSF作家にしか書けない問題作。凶悪犯罪者が病として治療可能だとしたら被害者遺族の感情の落とし所はどうなる?という思考実験の書。イーガン読者にもお勧め。ただし、元少年の動機告白によってテーマがぼけてしまったのが残念。それまでは反社会性人格障害という前提で話が進んできたのに、あの告白はどうも発達障害っぽいんですよね。それで結局テーマへの踏み込みが浅くなってしまっている。それから、犯罪性向の外科的治療という発想は決して絵空事ではないが、同意なく実験的手術をするのは無理が2010/06/21
Ms.H
3
う〜ん…途切れ途切れに読んだせいか、小説としてとらえてよいか、取材に基づいたフィクションとしてとらえてわからなかった。加害者の更正なんて被害者は望んでいないだろう。帯には現代の「罪と罰」の最先端…とあったが、手術は罰なのか?それで被害者は救われるのか?2010/11/08
tom
3
少年犯罪のことを藤崎慎吾が書くのかと,驚きながら読了。2010/07/18
マサキ@灯れ松明の火
2
祈望…祈りを望む…重い話です…人の業…加害者と被害者遺族。加害者に…更正はあるのか…?被害者遺族の怒りや悲しみは…どこに向かうのか…?遺族にとって、加害者の更正は…どんな意味を持つのか…?救いは…何処に……2011/01/27