出版社内容情報
世界文学の先駆者ネルヴァルの傑作を読む。
軽やかな足どりで19世紀のオリエントを描いた紀行文『東方紀行』の先駆性とは。プルーストがサイードが愛した作家ネルヴァルの魅力を今新たに問い直す文学評論。
内容説明
「東方の甘美な香りに誘われ、女性探求の旅が始まる…」プルーストが、サイードが愛した“世界”文学の先駆者ネルヴァルの傑作を読む。
目次
遊歩への誘い
旅人が名前を失うとき
女の都
女神の島
迷路の中へ
逆説と真理
奇想のピラミッド
レバノンの一角獣
惑乱するカリフ
夢の波
地底世界とフロイト
幻想的家系図
寛容の帝国
蕩児の帰還
夜の果てへの旅
著者等紹介
野崎歓[ノザキカン]
1959年、新潟県生まれ。フランス文学者。東京大学文学部仏文科卒業。同大学院博士課程中退。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授。2001年、『ジャン・ルノワール越境する映画』(青土社)でサントリー学芸賞、2006年に『赤ちゃん教育』(青土社)で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
4
素晴らしい読み応え。ネルヴァルにどぷり。いつか「東方紀行」を読み返すときには、「シルヴィ」も併せたいなぁ…と。2013/12/27
メルセ・ひすい
1
13-93 赤37 ★…匿名の無名の遊歩者として異国の路地に分け入る… ジュネーヴの見晴らし台で眺めた夕日…「オリエントの彩り豊かな靄」であり、ウィーンの下町に漂う「女の匂い」オドール・ディ・フェミナである。漠とした、捕えがたいものの煌めきに感応して、見知らぬ街角のざわめきの中に身を投じるとき、いっさいは流動の相を帯びる。旅人もまた、そこで変身の時をまつのだ… ベールに覆われた女神の幻を胸に抱きつつ、カイロに居を構えた旅人は、土地の人びとに促されるまま「結婚」の可能性を追い始める。… 2010/05/22
アルクシ・ガイ
0
「東方紀行」の傍らに置いておきたい一冊。2012/10/01