出版社内容情報
『ボックス!』の百田尚樹、注目の新作登場 女王が統べる帝国に戦士として生まれたマリア。過酷な闘いの連続に身を投じていた彼女に、ある日出会った男性が衝撃的な事実を告げる。帝国とマリアの運命とは?
百田 尚樹[ヒャクタ ナオキ]
著・文・その他
内容説明
「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。
著者等紹介
百田尚樹[ヒャクタナオキ]
1956年、大阪生まれ。同志社大学中退。放送作家として人気番組「探偵!ナイトスクープ」など多数を構成。2006年、『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。高校ボクシングの世界を感動的に描いて2008年に発表した小説『ボックス!』で圧倒的な支持を集め、一躍読書界注目の存在となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
186
「蟪姑春秋を識らず」ならぬ「ヴェスパ春秋を識らず」であるが、その短期間に濃度ギッシリで生と任務を全うするワーカーの一生をよくぞここまでビビッドに描いたものだ。感心。しかし、名前は皆さん何故にゲルマン系?2011/09/26
おしゃべりメガネ
131
スズメバチの一生をひたすら、淡々と描いています。あたかも人間の世界のように、あらゆる目線、そして感情を克明に書くことで、「蜂」の世界であることすら忘れてしまいます。しかし昆虫が苦手な方は、少しキビしいかもしれません。蜂の、とにかくボロボロになるまで戦い抜く、その生涯に目を覆いたくなるキモチになります。‘戦い、そして生きぬき、さらに生き延びること’をストレートに書き上げ、読書を引き込んでくれます。蜂の世界ながら感動も間違いなくありますが、それ以上に言葉では言い表せないキモチが読後、必ず訪れることと思います。2010/07/18
ミナコ@灯れ松明の火
112
「帝国」のため、自らの身を顧みることなく戦いを続ける勇敢な女戦士。ひたすら戦いに明け暮れる日々の中、戦うためだけにこの世に生を受けた運命に対して疑問を抱いたりしつつも、全ての葛藤を呑み込み、死んでゆくものたちの痛みを受け入れ、小さな幸せに心震わせながら戦い続け、やがて帝国は様変わりをしてゆく。帝国が辿った壮大な運命を、命を繋ぐドラマを、ただただ夢中に読み耽った。そして何よりもすごいのは、この女戦士が蜂だ、ということ。抜群に面白かった!!2011/12/26
里季
97
人が物凄く恐れるスズメバチのお話。疾風のマリアというワーカー蜂の強さにまず惹かれてしまった。大きなカマキリとの戦いや、二ホンミツバチの蜂球との一戦に思わず手に力が入る。頑張れマリアたち。でも読み進むうち、マリアが自分や女王蜂やまたオス蜂の運命に気づいていくにつれ、大自然が決めた法則とはいえ、彼女たち彼たちに課された使命に何とも言えない気持ちになってきた。一生恋もせず子供も産むことのできないマリアたちワーカー。それに比べ一生巣の中で産卵し続けて空を飛ぶ自由のない「偉大なる母」の蜂。2014/05/12
なゆ
89
スズメバチの話と聞いて、おそるおそる読んでみたら…すごく面白くてびっくり。オオスズメバチの生態というか、ひとつの群れ(巣)の見事な役割分担やシステムがよ~くわかって、為になった。ハチに名前を与え感情を持たせることで、ワーカー(働きハチ)の一生が物語になっている。女王蜂がたった一匹で巣を作り始め、卵を産み育てて一つの帝国(巣)をつくり繁栄させていく様は圧巻。自然の摂理と厳しさ、遺伝子を繋ぐことなどなど、考えさせられることもいっぱい。これからハチ退治するとき、ちょっとためらってしまうかも。2014/09/19