内容説明
亡くなった妻が図書館の文学全集に残した蝶の栞。白薔薇の香りとともに、書架から書架へ、そして霊界へと誘っていく。彷徨いの果てに出会う心やさしい光景とは…。本と死者をめぐる癒しのミステリー。
著者等紹介
新井千裕[アライチヒロ]
1954年、新潟生まれ。早稲田大学法学部卒業。区役所職員、コピーライターを経て、1986年「復活祭のためのレクイエム」で群像新人文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
196
図書館で見かけてタイトルが気になり、借りた作品ですがまたしても隠れた?名作に出会えるコトができました。妻を事故で亡くした主人公は’何でも屋’をやりながら、あてもなくダラダラと酒浸りな日々を過ごしています。唯一の支えは飼っている犬だけ。そんな主人公に’霊’を通し、亡くなった妻からのメッセージが送られてきます。決してホラーな要素はなく、とてもステキなファンタジーテイストで綴られています。登場するキャラがみんな、しっかりと個性的で、何より作風に村上春樹さん的な印象を受けました。もっと他の作品を読んでみたいです。2018/05/13
mocha
72
妻を亡くした便利屋の元に、奇妙な仕事の依頼が。それは〈霊〉が愛する人のために仕組んだことだった。図書館に残された蝶の栞、薔薇の香水、愛犬パピなど、キーアイテムは可愛らしいのに、会話や人物の描写が粗雑で、ちぐはぐな印象を受けた。みなさん〈霊〉に操られ過ぎだし…。長すぎるあとがきは、別のショートストーリーとして読んだ。2015/08/23
イチ
35
妻に先立たれ、会社を辞め”何でも屋”を始める主人公。仕事もなくフラフラし、図書館に通う毎日。ダメダメな感じなのだか、ある依頼から物語は動き始める。簡単に言うとハートフル・ファンタジーの趣き。だけど、とても切なさに溢れた物語だ。作中に登場する「薔薇の香りがする蝶の栞」が物語の鍵。数多くの書籍が蘊蓄と共に紹介されるのも楽しめる。何気ない一節に心が動かされたり。亡き妻の言葉が刺さったり。タイトルの意味もなるほどな~と納得したり。色々な感情が湧き出るような物語。良い作品と出会えて嬉しい限りだ。2018/05/23
ブルームーン
34
タイトルから想像していた内容とはちょっと違っていた。読書好きな妻に先立たれ、一人で便利屋家業をする主人公。ある日、絵のモデルになってほしいと依頼してくる未亡人。未亡人の目的とは・・・。やたらと霊感がすごい人が出てくるし、都合よく亡くなった人の霊が身近なところに憑いているしで、途中から冷めた感じで読んでしまった。長すぎる「あとがき」も、ちょっとどうかと思う。2015/01/09
メタボン
31
☆☆☆☆ 新井千裕らしい幻想的な作品。ラスト、パピの耳から出てくる白い蝶の光景が美しい。タイトルどおりところどころに出てくる文学作品、作者の作家たちに対するリスペクトが感じられる。2019/01/04
-
- 電子書籍
- 文豪ストレイドッグス わん!(13) …




