内容説明
戦いに明け暮れる兵士の心境を歌った覇者・曹操、王者を補佐する大望を詩に託した天才軍師・孔明。皇帝詩人・曹丕と、皇位争いに敗れ傑作を生んだ曹植。乱世を駆け抜けた英雄たちは不朽の名作を残していた。漢詩がわかればもっと面白い。三国志への新視点。
目次
第1章 曹操―従軍兵士の身になって歌う英雄詩人
第2章 孔融―権力の前に立ちはだかる誇り高き詩人
第3章 王粲―驢馬の鳴き声が好きだった詩人
第4章 諸葛孔明―晴耕雨読の志を歌う天才軍師
第5章 阮〓(う)―孤児の悲しみを歌う馬上の詩人
第6章 陳琳―長城の苦役を相聞歌に仕立てた詩人
第7章 劉〓―魂の貴族をとおした硬骨の詩人
第8章 曹丕―文章は経国の大業と宣言した皇帝詩人
第9章 曹植―文学を小道とみた天性の詩人
著者等紹介
林田愼之助[ハヤシダシンノスケ]
1932年福岡県生まれ。九州大学大学院文学研究科助教授を経て、神戸女子大学大学院教授。現在、神戸女子大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GEO(ジオ)
2
中国史上に「建安文学」と言われる時代を築き、李白や杜甫からも尊敬を受けた三国時代の詩人たちの作品を解説した本。八木章好氏の「三国志漢詩紀行」や松浦知久氏の「詩歌三国志」、吉川幸次郎氏の「三国志実録」や、魯迅の「魏晋の詩の気風と酒、及び薬の関係」などと合わせて読むと面白いと思う。2009/11/07
BIN
0
数は少ないですが、三国時代の詩文を紹介した本。詩人として活躍しているが、小説等ではほとんど現れてくれない阮瑀や劉楨の詩が書いてあるのが嬉しい。2011/09/17
司馬漬け海苔
0
三国志の入り口というより、蝶番のような本となっている。三国志演義や関連作品からは捉え辛い、その時代を代表する人々の精神面での足跡を、詩文による断面から、わかりやすく説明している。三国時代や詩文に詳しい人にとっても、例えば曹丕の文体に対する評価を詩文以外の面からも解きほぐそうと試みており、楽しめると思う。2009/11/10