内容説明
人口減少のため、様々な手法で臓器のスペアを生み出し、人々は病や老いを恐れなくなっていた。安心と豊かさを象徴するシステムのなかで、本来在るべき精神と肉体の容は徐々に歪んでいく。「死すべき者は死に、生まれるべきでない生命は産み出すべきではない」と立ち上がった矩嗣は盗み出した意思を持たないブレインレス・クローンを公衆の面前で人工羊水から引きずり出した―。
著者等紹介
岩崎リズ[イワサキリズ]
東京都生まれ。四谷に育ち、女子美術短期大学造形科彫塑専攻(現・美術コース彫塑)を卒業。バンド活動のかたわら、日本脚本家連盟ライターズスクールにてシナリオを学ぶ。以降、映画、ドラマ、アニメーション制作の企画に携わる。『DATASHIP』で小説にも進出。バンドでは作詞、作曲、ボーカル、ロゴマークやCDジャケットのデザインを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カノコ
1
残念ながら全体に陳腐な印象。描きたいテーマを描ききるには筆が未熟。スペアツール・ベイビー、ブレインレス・クローン、データシップ、フォグ等世界観、着目点は興味深く盛りだくさんだが、どれも今一つ詰めが甘い。登場人物も個体差があるようでないゴロゴロ感が否めないし、錯綜する相関図は期待をつのらせるも、やはり筆が追いついてない感。いっそ、スケールを狭めてもっと煮詰めては…という愛すべき処女作。2010/01/30
たらら
0
やや題材を消化し切れていない感、構成が技術的に稚拙な面もあるが、作為と虚実の階段をのぼりつめていく感じはあり、読ませる。次作に期待。2009/10/30
太陽
0
小説はこれが処女作ということらしいですが、人称の変化がちょっと読みづらくはありましたが、なかなか読ませる作品。気に入りました。いろんな人の気持ち、思惑が痛く、切ない、やるせなくなりますが、特に都築が一番ぐっときました。2009/06/29
Mits
0
チグハグな感じ。社会状況に対する問題意識と義憤という出発点と、親子・兄弟・恋人・友人といったごく狭い範囲での人間関係の葛藤が中心となって転がっていくストーリーの間で、整合性が取れてない。ただ、スタイリッシュな漫画のようなかっこよさのある人物造形・場面展開があるので、そういうのが好きな人にはいいかも。2009/04/25
mao
0
面白くて一気に読みました。隠し設定も沢山有りそうなので、続編が楽しみです。2009/03/06