内容説明
長い時間が経っても、たどりつけない悲しみ。やがて物語は、深い深い感動を誘う。
著者等紹介
津島佑子[ツシマユウコ]
1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。『草の臥所』で第五回泉鏡花文学賞。『寵児』で第十七回女流文学賞。『光の領分』で第一回野間文芸新人賞。『黙市』で第十回川端康成文学賞。『夜の光に追われて』で第三十八回読売文学賞。『風よ、空駆ける風よ』で第六回伊藤整文学賞。『火の山―山猿記』で第三十四回谷崎潤一郎賞。同作品で第五十一回野間文芸賞。『笑いオオカミ』で第二十八回大佛次郎賞。『ナラ・レポート』で芸術選奨文部科学大臣賞。同作品で紫式部文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いくら
14
読み終わってからまだまだ整理がつかない。冒頭にあるどんぶらこ、どんぶらこのくだり。台湾の山岳部に住む原住民に伝えられている「うつぼ舟」という伝承に擬えているようだ。この伝承をふまえて、女性であることは「野蛮」としているのか。分からないことだらけ。2013/06/16
ophiuchi
6
1930年代、台湾で暮らしたミーチャと、その姪で2005年に台湾を訪れたリーリーが「どんぶらこっこ、どんぶらこ」と流された果ては・・・読み終えても体が揺れているような気がする。2011/04/20
あおさわ
5
不安や狂気と一緒に身体が溶けていくように原子に戻っていく感じがしました。「感動の第一級文学作品」か…まあ心が動いたので感動したのかな。読了感はもやもやです。幸せってなんだっけと俗なことしか考えられない別の意味で「野蛮」な身の上でして。2011/03/27
pico
5
子を亡くした母親の情念が、どんぶらこ、どんぶらこっこ…と揺れる。過去と現代の物語と書簡に台湾の神話的要素が絡まりつつ非常にシンプル且つ奥深い精神世界にひきずりこまれます。あたかも能をみてるみたいな。ラストが凄い。父へのアンサー小説のように思えてならない。それにしても、この装丁はいかがなもんかと。2009/02/06
あ げ こ
4
突然の喪失がもたらす変容。幾つもの矛盾、決して消化されることのない痛み、決して消化してはいけない、過去の傷にしてはいけない痛み。閉ざされた心の内で、熱い濁流と化した感情の波に溺れ、身動きを封じられてなお、女性たちは生に縋り付く。生き続けたいと願う限り、逃げ場はなく、自らの場所から離れることはできない。それは見苦しくて、汚くて、悲しくて、だが愛おしい、生への渇望。苦しみの果てに駆け出した外の眩しさ。混ざり合ったそれぞれの時間、辿るべき道で背負う重みの心地良さ。魂を包む光の温かさに、快い安堵が広がる。2014/05/31
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