内容説明
“中橋小町”の歌吉は、お狂言師にして、お小人目付の協力者。宿下がりしたままの坂東流名取・照代を再び召し出そうとする上様に、一夜だけの舞台に立つ事になった照代と連れ舞を舞う事に。大奥の陰謀から照代を守ってやれるのは、歌吉をおいてほかにいない。直木賞作家が描く長編時代小説。
著者等紹介
杉本章子[スギモトアキコ]
1953年、福岡県八女市生まれ。ノートルダム清心女子大学国文科卒業後、金城学院大学大学院修士課程修了。江戸文学を学ぶ。この修士論文の延長で書いた「男の軌跡」で、’80年に歴史文学賞佳作入選。作家デビューを果たす。’89年、「東京新大橋雨中図」で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
56
駕籠屋の娘でお狂言師のお吉(歌吉)が幕府の隠密の手駒として活躍するシリーズ第2弾。今回は、以前江戸城大奥でお茶の間務め(お狂言師)をあいていた照代とともに大奥へ潜入。将軍の寵を争いお世継ぎ問題に揺れる大奥とそれを取り巻く人間関係にドキドキさせられる。将軍家慶の最後の決断は照代やその娘そして大奥で生まれ育ったもう一人の娘を思うがゆえの決断だったのかなあ。一方隠密の日向と前作にも登場した角善の宗助のお吉をはさんでのやり取りにニマニマしてしまう。次作もタイトルから察するに大奥絡みのようなので楽しみ。2015/09/11
baba
16
狂言師歌吉と、師匠歌仙、照代をめぐる苦しい胸の内は、流石に機微に富んだ心情の描写でゆっくり物語を楽しみましたが、目付の手駒として大奥に出入りしたり、陰謀や権力争い見苦しく、歌吉には合わないような気がした。2015/09/05
星落秋風五丈原
10
お狂言師にして幕府の協力者である“中橋小町”歌吉は、宿下がりしていた照代と、上様の前で連れ舞を舞う事に。大奥の陰謀から照代を守ってやれるのは、歌吉をおいてほかにいない−。長編時代劇小説。2010/12/13
丸太
6
面白かった!お吉が大奥で大活躍、場面展開に合った状況や気持ちの描写が小気味好く、かつ繊細で惹き込まれ、一気に読了。爽やかなお吉、大人の歌仙他、敵味方かまわず女性が大活躍。男も控えめながら良い味を出している。2016/09/23
なる
6
今回の方がお狂言師を十分に活かしてる内容で良かったです。特に二人道成寺の場面は迫力があって読んでて興奮してしまいました。それにしても今回は、男女の間柄が切ないお話でしたね。特に扇蔵師匠の白扇を手にしながらお吉ちゃんに言った歌仙師匠の「おまえは、だれはばかることなく会える人を好きになるんだよ」という台詞には涙がじわり。でも最後は綺麗に収まってよかった。上様にはホントどきどきひやひやさせられたわ~(笑)宗助さんもイイカンジですし、次の巻も楽しみです。2013/06/19




