出版社内容情報
追悼・小川国夫。最後の短編小説集。遺作随想集『虹よ消えるな』も同時発売。
内容説明
土地に流れる息吹を、人の生と死を見つめ、光をもって描き出す。神話の高みに到る小川文学の結晶。
著者等紹介
小川国夫[オガワクニオ]
1927年12月21日、静岡県藤枝町(現・藤枝市)生まれ。1950年、東京大学文学部入学。1953年、「東海のほとり」を『近代文學』に発表、同年ソルボンヌ大学に留学。1954年、「動員時代」を『近代文學』に発表、同年グルノーブル大学に移籍。1955年、イタリアからギリシャへのバイク旅行。1956年、日本に帰国し、大学へは復学せず、創作活動に入る。1957年、「アポロンの島と八つの短篇」を『青銅時代』に発表、私家版『アポロンの島』を刊行。以降、作家として執筆を続ける。1986年、「逸民」で川端康成文学賞。1994年、『悲しみの港』で伊藤整文学賞。1999年、『ハシッシ・ギャング』で読売文学賞を受賞している。2008年4月8日、肺炎のため永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rabbitrun
7
著者の遺作短編集。独特の簡素な文体で記憶の中の情景が鮮やかに再現され、透明感に息をのむ。このように余白や空気を感じさせる書き方があることに驚く。2014/12/02
まどの一哉
5
全編ほとんどをセリフの連続のみで繋いでゆく。これが晩年の小川国夫の到達した表現なのか。地の文が少ないせいか語り手の私を含めて登場人物がいきいきと立ち上がってくる印象だ。そのセリフも多くは1行くらいでごく短く簡潔。素直に作品世界に引き込まれてしまうが、ここにはおおいに作者のうまさがあると思う。2022/12/26
マリ
3
誰にでもある日常とどこにでもある人間関係を現してあるからすんなり入ってくる。突き放さないそこにある毎日の物語。2013/07/05
サラ.K
3
淡々と物語が語られていく。静岡は藤枝を舞台に無数の人々が交錯していく。亀さんという年寄りの人力夫が印象的だった。方言交じりの言葉と、朴訥としたたたずまいが心に残った。2011/05/28
ユ-スケ
2
帯に遺作短編集とあり、すかさず購入 最後まで地元藤枝を中心とした小説(私小説?)を描かれた、ということになるのだろうか これといったことが起こるわけでなく、謎解きも凝ったプロットもない淡々とした物語であるが、沁みてくるなにかがある 人間というものを正面から描いている、とでも言おうか2025/01/23