出版社内容情報
芥川賞受賞後第一作。待望の長編小説刊行。
小説とは、言葉とは、小説を書くという行為とは、様々な創作の問いを、リズミカルな兄妹の会話に、そしてささやかで切ない物語として描く、芥川賞受賞後第一作。
内容説明
遠い親戚だけど兄妹のように育った二人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。病室で繰り広げられる二人の会話。ある時、二人は同室の女性患者が自分たちの会話を盗聴していることに気づく。二人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切型と小説の作為とに抗い続けるが―。小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた待望の長篇。芥川賞受賞後初の小説。
著者等紹介
諏訪哲史[スワテツシ]
1969年10月26日、名古屋市生まれ。國學院大学文学部哲学科卒業。『アサッテの人』で第五〇回群像新人文学賞、第一三七回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とら
33
「アサッテ」実践編。結局自分の運命は自分で変える、みたいなところに落ち着いたけれど、イタリアの劇作家などは知らないので『登場人物がそれを書いてる作者のことを意識してるって話』はやはり自分にとって新鮮なことには間違い無かった。読みながら、時代、文学史はこうやって変わるのか…?とか思っちゃったりしてしていた。”純粋小説の目指す場所とは、ついに小説の墓場に他ならぬのか”。りすん。そこらへんの説明以外は、流れるような文章につられて一気読みだったが、やっぱり良い。諏訪さんの作品が好みだったのは間違い無かったようだ。2013/11/24
あつひめ
27
アサッテの人を引きずりながら、新しい物語。カーテン越しに過ごす二人の患者。姿無き登場人物の存在がずっしりとのしかかっている。会話のみの展開・・・まるで舞台劇を見ているような感じで「死」と言うものに包まれた朝子の心情と毎晩並んで眠る隆志の苦しみ・・・が胸を苦しくさせる。私たち読者も様々な小説でいろんな人生を覗き見している。もしかしたら覗いた人生の主人公が居るのかも・・・と思うと書き手と読み手の関係を改めて考えてしまう。もう少し諏訪さんの作品を読んでみないと諏訪さんがどんな人かまだわからない。2011/01/08
ドン•マルロー
12
りすん。聴けば良い。されど、最後には目を奪われること不可避。文学テロリストによる、フィクションへの徹底的な反抗を目の当たりにするだろう。2019/03/13
あおさわ
7
作者から、読者から逃れようとする朝子と隆志。たわいない会話でつづられる世界が絶妙です。独特の空気を感じます。「アサッテ」よりこちらが好きです。閉じた後もまだきっとよくわからない会話を続けているでしょう。予定調和から逃れて。2011/03/20
本ぺんぎん
7
「アサッテの人」読んで、自分のなかで惜しい感じがしたので2作目にチャレンジしてみました。が。。。。やっぱりちょっと違う。2010/08/22
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