内容説明
8歳のとき、母親が自殺、喧嘩で寂しさを埋めた。14歳のとき、父親が事業に失敗、格差社会の「天」「地」を味わった。29歳のとき、出張先の広島で被爆、命からがら戻った長崎で、二度めの被爆。そして、生きていくために米軍で通訳として働いた。戦争を生き抜いたひとりの日本人が、90歳から語り始めた、生きる力と平和への願い。
目次
序章 運命
第1章 彊めて息まず
第2章 孤立の道へ
第3章 銃後の暮らし
第4章 二重被爆
第5章 反戦への誓い
著者等紹介
山口彊[ヤマグチツトム]
1916年3月16日、長崎県生まれ。旧制中学卒業後、長崎三菱造船株式会社に入社。造船設計部艤装設計課商船係に製図工として勤務する。出張先の広島と帰郷した長崎で相次いで被爆。終戦後、解雇され、長崎に駐留していたアメリカ海兵隊第5大隊に通訳として従事。その後、中学の英語教員として7年間勤めた後、三菱造船へ復職。定年までタンカーの設計を担当。また、10代から短歌を始め、1999年8月、第37回原爆忌文芸大会で長崎県知事賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
8
6年生ブックトーク授業【戦争・平和・伝記】で選書した本。今回は見送り。二重被爆された山口さんの証言。2022/07/12
みほ
0
恥ずかしながら、二重被爆という言葉をこの本で知った。「どういう悲惨な事件があろうとも、そこに生活があり(略)、時代を象徴する事件がどんなに暗く重くとも、それに染めあげられてしまうことはない。現にこうして私は生きている。(略)傷だけが私のすべてを物語るわけではない。私の人生はその外に広がっている」という20頁の言葉、とても胸を打たれた。戦争が悪い、被害者だ、という視点に全くとらわれず、淡々と描き出すところに、驚きと、尊敬を感じます。この言葉は、時を超えて、現代の生き方にも通ずる。2015/09/22
-
- 和書
- 実験的妄想小説集