内容説明
社会や国家を維持・駆動する根源的なものとは?歴史と人類学の成果を動員し、鍛え上げられた社会哲学の新理論。
目次
第1章 社会を再生産する「儀礼的実践」
第2章 狩猟採集社会に儀礼はあるか
第3章 首長制社会の再生産装置
第4章 神聖王権と国家の本質
第5章 古代的国家儀礼
第6章 初期近代国家=絶対主義時代と儀礼
第7章 近現代国家と儀礼
著者等紹介
今村仁司[イマムラヒトシ]
1942年生まれ。京都大学大学院経済研究科博士課程修了。東京経済大学教授。専攻は社会哲学、社会思想史
今村真介[イマムラシンスケ]
1971年生まれ。上智大学法学部法律学科卒業。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学法学部講師、東京外国語大学AA研共同研究員。専攻は社会思想史、現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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★★★★★
5
儀礼を通じて国家の本質を再検討する論考。本書ではまず「儀礼的なもの」を、反復性や規則性を備えた、状況への実践を無意識のうちに支える枠組みと捉え、それの構造体として「儀礼的実践」を定義します(P46~49)。そして、この「儀礼的実践」こそが社会を維持・再生産する機能をもつとし、狩猟採集社会から現代国家に至るまで、膨大な歴史・民族誌的資料をもとにその働きを跡付けてゆくわけです。『プロ倫』にも通じるマクロな議論は大変エキサイティングですが、進化論的な図式と包括的に過ぎる儀礼概念には、若干の違和感を感じました。2010/03/21