内容説明
奴隷解放の福音主義を掲げて、版図を拡大する大英帝国。インド、南アフリカ、カナダ、オーストラリアなど帝国各地の戦乱と開拓の秘史を発掘し、ヴィクトリア女王即位から在位60周年を祝う1897年までの苦難と繁栄を描く。英国最高の歴史紀行作家、ジャン・モリスの傑作。
目次
第1部 帝国の心情一八三七~一八五〇年(素敵な思いつき―ヴィクトリアの戴冠、勝ちにのる英国、潜在的帝国意識;高潔にして神聖なる務め―奴隷制と改善本能;豊かな暮らし―ボーア人と介入本能;彼らの地に根を―サグと改革本能 ほか)
第2部 深まる確信一八五〇~一八七〇年(変化の溝軌道―技術革新と大英帝国;民族の叙事詩―インド大反乱;牧羊神とグラッドストン氏―アドリア海間奏曲;大英帝国流―ゴシック様式好み)
著者等紹介
モリス,ジャン[モリス,ジャン][Morris,Jan]
1926年、英国サマセット州に生まれる。英米圏では第一級の歴史・紀行作家として著名。第二次世界大戦中の軍隊経験を経てジャーナリストとなり、1953年には英国のエベレスト登攀隊に同行し、その初登頂を世界に発信した。その後、ヴェネツィアなど都市をテーマとする旅行記を数多く著す。1970年代に性転換し、ジェイムズ・モリスからジャン・モリスと改名
椋田直子[ムクダナオコ]
翻訳家。東京大学文学部大学院修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kasim
21
知っているようで知らない大英帝国を求めて。この巻はヴィクトリア朝前期。人物中心の記述なので、私のような素人にもとても面白い。章ごとにトピックが変わりスケールは大きいものの、基本的に植民地との関係史で内政の話はない。ヴィクトリア朝初期には「植民地とか偉そうだし、現地人に嫌われると面倒くさい。金儲けできればいいや」だったのが、中期には自分たちの正しさを確信し「天命」という義務感を持っての拡大に変質する。しかもその契機は英国による世界初の奴隷制撤廃。人権意識が帝国主義へ。複雑だ。2017/11/13
Hotspur
3
大英帝国三部作の第一部。1837年ヴィクトリア女王戴冠の知らせがインドに届く所から始まるオープニングが洒落ている。本巻も第二部、第三部と同様の歴史ツアーで、インド、南アフリカ、アフガン、カナダ、アイルランド(飢饉で悲惨な目に合っている)などを興味深く巡る。但し、アヘン戦争やアロー号事件など、中国問題は著者の視界に入っていない。各論では、1851年ロンドン万博、帝国の考え方や気分を根底から変えたセポイの反乱、アドリア海の楽しい間奏曲、各地建築に反映される帝国の心象風景など。2021/02/12
颯奏
2
ヴィクトリア朝時代の有名人達を軸に一章毎に歴史を書いていくといった感じの本。1926年生まれの英国人ジャン・モリスの手によるものなのだけれど訳者さんが上手なのか古臭くなく読みやすい。人物像が想像しやすくて助かった。2015/07/29
roxy001960
2
塩野七海さん的な内容を期待したんだけど、ちょっと違いました。個々のエピソードを集めて時代の流れや状況を描写しようとしているため、大英帝国の全体像や興亡の背景などがわかりにくい。多分、欧米人にとっては常識の部分は記述されていないんだろうなあと思いながら読みました。個々のエピソードそれぞれは、それなりに面白いですが…。2010/12/14
Mas Okada
0
ジャン・モリスの大英帝国3部作の第1部の上巻。3部作全部読み終わるのにどれくらいかかるかな(^_^)2015/12/20